第8話

小宮が部屋を出ると、一気に部屋が広く感じた。琴音がこの子ども園に通っていた頃も、琴音はこの職員室に入った事が一度も無かった。子供だから当たり前なのかもしれないけど、他の園児が入るのは日常茶飯事。入った事がないのは琴音くらいだった。何でかは分からない。子供ながらに職員室の特別感を感じていたのかも知れない。冷やっとした風が、琴音の頬を伝い、首へと移動する。もうすぐ紅葉が散る。そして、町を白く染めていく。琴美がもし外で監禁されているのなら、一秒でも早い保護、犯人確保が必要となる。しかし、犯人からの身代金の要求も、その他の連絡も無い。唯一の手掛かりは児童養護施設に掛かって来た犯人の電話番号のみ。

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