姉弟のような兄妹

Natsu

別れの春、出会いの春

第1話 プロローグ

side菊野きくの広行ひろゆき



 突然だが自分はよく弟っぽいと言われる。

 原因は恐らく身長にあるのだろう。世間の男子高校生の平均身長はだいたい170cmくらい。それに比べて自分の身長は160cm。


 まぁ……小さい。特に他の男子と並んだときなんかは一目瞭然なくらいに。まぁだからといって特にメリットもデメリットもなかったが。


 高校入学当初はいろいろと期待や不安もあったが、気付けばもうすぐ2年生。なにかと忙しい時期である……俺のように帰宅部でない限りは。


 放課後になり、教室を見渡すと皆にぎやかに話をしながらそれぞれの部活に行ったり、遊びに行ったりしていた。


 帰宅部で交遊関係が狭い自分にとっては少し遠く感じる光景だ。


 そんなことを思いながらリュックに教科書を詰めて、教室から出る。


 きっとそんな感じで、俺は普通に過ごして、普通に遊んで、普通に勉強して高校生活を終えるのだろう、と思っていた。






side岸田きしだゆき



 いきなりだけど、私はよくお姉ちゃんっぽいと言われる。


 そんなこと言われるまで意識したことがなかったけど、少し考えてみた。


 まず理由の1つとして、私が普段からいろんな子の悩みや相談を聞いてあげたりしてるからだと思う。

 二つ目は身長かな。女子高生の平均身長は158cm。それに対して私の身長はというと…なんとそれより10cm高い168cm。並の男子くらいはあるのでは、と思う。


 そんな内面的にも外見的にも姉っぽいらしい私は、よく皆から『頼りになる』、と言われるが、正直そんなに頼られてもなぁ……というのが本音。


 やっぱり少しストレスも溜まっちゃうし。別に嫌ではないんだけど、疲れてしまう。


 あぁ! やめよう! せっかく放課後になったんだからもっと楽しいこと考えよう。


 そうして気分を切り替えて、私は竹刀を持って剣道場へ向かう。

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