魔法少女になるために

猫缶珈琲

魔法少女になるための手段を考えよう

 ワシの名前は毒島久子ぶすじまひさこ

 今年、古希こきを迎えるピチピチのギャルじゃ。












 おい、そこの若造。古希でピチピチのナウでヤングなギャルはないだろ。って思ったじゃろ?

 介錯は努めてやるから腹切れ腹。


 おっと本題に戻ろうかの。わしはの。魔法少女に憧れておるのじゃ。

 何時、何処で憧れたかはもう忘れたがの、魔法少女になりたいのじゃ。


 魔法少女になりた~い。って叫び、慣れるなら苦労はせんじゃろ?

 せやから、わしはまずは1つ実践をしたのじゃ。ほれ、男は三十路過ぎてどうピーで、魔法使いになれるという話があるじゃろ。

 たまたまわしもの、致しておらんかったから実践したのじゃ。



 一応言っておくが、たまたまじゃぞ?




 たまたまじゃからな?




 でもな、この年になってもなれんかったのじゃ。何が敗因か。若い頃働きながら考えたものじゃ。


 そしたらの。1つの答えが出たのじゃ。それはの。このような受動的な手段ではダメだという事じゃ。


 よくあるフィクションで得られる力は、極々一部の運がとんでもなくいいやからのみじゃからの。9割9分の人間は得られんのじゃ。その辺の通行人Aや通行人Bといった扱いじゃ。歩くゴミじゃ。


 わしもの、運がなかった。ゴミじゃった。そして、まだピチピチとはいえこの歳じゃ。

 体にガタがキテの大変なのじゃ。

 じゃからの、決めたのじゃ。




 運がないなら奪えはいいじゃない。

 最近は女の子が男の魔法少女(?)に変身したり、男が魔法少女に変身したり、不幸であれば魔法少女になれたり、多種多様の魔法少女への道が生まれておる。そのうちのたった1つを奪えはええんじゃ。


 考えてみれば簡単じゃった。

 わしは阿呆じゃった。このような手段を思い浮かばないなんて。


 そうと決まればまずは、探偵じゃ。探偵に依頼じゃ。

 じゃがの、最初は意味不明な事言ってんじゃねぇよババア! と威圧的での。もう情けなくなって知り合いのつてを借りて説得をしたのじゃ。

 そうするとの、やらせていただきます! 料金は要りません! と電話を入れてきたのじゃ。殊勝な心がけじゃの。


 そして、わしはまーつわ。何時までもまーつわ。と歌いながら待ち、喜寿を迎えた日の事じゃった。

 探偵から1本の電話が掛かって来たのじゃ。


 見つけました! とな。

 心が踊った。すごく踊った。踊って踊り狂って、トラックを借り魔法少女になりかけておる者の元に急行したのじゃ。








 じゃが、浮かれすぎたのじゃろうな。コレも失敗したのじゃ。


 強姦魔らしき全裸の男に襲われておる少女がおっての。ちょうど其奴そやつが飛び出たのじゃ。

 避けるためにハンドルを切った先にの。居たのじゃ。魔法少女になるための道具を渡すマスコットがな!


 大層めんこい奴での、一瞬みとれてしまったのじゃ。

 それが敗因じゃった。

 

 そのまま強姦魔を目の前を通り過ぎ、マスコットだけを引き殺し壁にぶつかり止まったのじゃ。

 今は警察のお世話となり取り調べを受けておる。

 じゃがの、やり方自体は間違っては居らんと確信したのじゃ。

 次は、次こそは魔法少女に・・・・・・わしはなる!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る