4-1 義兄の清純なイメージが・・・ 「なによ、お兄ちゃんなんて。あたしの胸を触り

「なによ、お兄ちゃんなんて。あたしの胸を触りながら、あそこを大きくしてたくせに」

「おまえ、年頃の女子がなんちゅうことを言うんだ」

ついに、瑞希さんの前で口論が始まった。このわずか数時間でおれと瑞希さんの距離がまた少し縮まったことを、充希が野獣のカンでかぎつけ、逆上したのだ。

「あれはおまえのせいじゃない。あのときは瑞希さんの夢を見ていたんだ」

しまったあ。売り言葉に買い言葉で俺まで口にしてはならんことを。

「そうよね。あたしの胸を触りながら『みずきさあーん』って。気持ち悪いっ」

そうか、それでカッとなってあんなことを。

「こらっ、おまえ。いい加減にしろよ」

「あたしの胸触ったくせに。あたしの胸触ったくせに」

「なんで2回言うんだよ。俺は寝てたんだから、意識がないんだから、不可抗力だ」

「どうかしら。意識がないにしては触り方が」

「だから、あれは瑞希さんの胸を、って、ちがーう」

 瑞希さんはもうだいぶ前から下を向いて赤くなっている。とてもきれいだ。

いや、そんな場合ではない。一人っ子生活の長かった瑞希さんは思春期の男子のリアルなんて1ミリも知らない。まあまあ免疫のある充希とは違う。

ああ、瑞希さんの中にあるやさしくて清純な義兄のイメージが汚されていく。

違うんです。瑞希さん、あれはおれの意志じゃないんです。サキュバスに精神を乗っ取られてたんです。夜中にサキュバスに取りつかれると自分の意志とは関係なく、ああなったり、こうなったりするんです。

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