第6話
開幕から2ターン目。マツリの従者:ヤツハシは行動をキャンセルされたものの、眠り状態から目を覚ます。しかし、目を覚ましたばかりのターンでは動くことができない。ノブレスオブリージュ・オンラインでは、行動阻害系の
対象が1体の場合の痺れ系
対して、睡眠系
痺れ系
マツリは職業:魔女であるため、【睡眠】という
「自動発動
「やめとけ、やめとけ。運営側としたら、してやったりの連携
デンカの一言にマツリ(
従者:ヤツハシが眠りから目覚めたあと、従者:ダイコンは1体対象のターゲット固定
そのデンカの企みは成功し、中級職である【見習い鍛冶屋】のダイコンでも、イブのターゲット固定に成功する。一度、ターゲット固定
デンカが無事に従者:ダイコンの【挑発】が成功したことに、ほっと安堵すると同時に、マツリの【
「むむー。さすが土くれから産み出されたといわれるだけはあるわね……。あたしの土属性の魔法じゃ、全然、ダメージを与えられないわ……」
マツリ(
マツリが動いたあと、続けて、デンカの【
「ちっ。運が悪いとは、このことだぜっ! 俺の攻撃がトリガーとなって、アダムが武器を装備することになるとはなっ!」
「本当に、デンカって引きが悪いわね。あなたの話だと、開幕5ターンはミカエルの剣は、現れないって言ってたじゃないの……」
「俺もここまで引きが悪いとは思ってなかったわっ! だから、俺が凹むようなため息を俺の耳に届くようにわざわざ大きめにするのは、やめてくれっ! 俺の心が痛いっ!」
アダムは物理攻撃に反応して、自身の魔法攻撃力を大幅に上げる『ミカエルの剣』を具現化する。その確率は低いモノの、一旦、それを具現化したアダムは戦闘アルゴリズムを一変させ、非常に攻撃的に変わるのであった。そして、攻撃的に変わったアダムは連続で全体攻撃【天から降る炎】を仕掛けてくるようになる。
よって、『ミカエルの剣』の具現化が解けるしばらくの間、デンカは全体回復魔法【
マツリが懸命に
「ちょっとーーー! イブの【愛するモノの守護】って、発動率20%程度だって、豪語してたのは誰なのよっ! ヤツハシの行動の半分近くをイブに持っていかれているわよ?」
マツリが文句を言うのも仕方がなかった。それほどまでに、イブの【愛するモノの守護】の発動率が良すぎるのだ。イブがアダムを庇い、そしてカウンター技である【楽園への誘い】がイブのターゲット固定を
わざわざ、デンカが従者:ダイコンの【挑発】をイブに集中させていた理由はこれであった。支援系職であるヤツハシが睡眠を喰らえば、それだけ、マツリたちが不利に陥る。だからこそ、イブのカウンター技をヤツハシの代わりに喰らう役目として、デンカはダイコンを選んだのであった。
しかしながら、従者;ヤツハシの行動がイブに吸収されすぎなのは問題だが、そのおかげでイブがカウンター技ばかり発動してくれるのは、計算外ではありながらも、デンカにとってはありがたい話でもあった。
イブがそればかり
開幕から6ターンが過ぎたあとに、ようやく、アダムが具現化した『ミカエルの剣』が消えることとなる。それにより、またアダムは受動的な行動に移る。アダムはイブの下がった抗物理・術力を【愛しきモノへの介護】でかき消す。
デンカはアダムの無駄な行動のおかげで、全体回復魔法【
その後、10ターンほどマツリたちはやや順調に攻撃を重ね、じりじりとアダムとイブたちの体力を削り続ける。17ターン目でまたもやデンカの攻撃がアダムに『ミカエルの剣』を具現化させるという失態を見せるが、そこはデンカが全体回復魔法を再び連打することにより、
アダムの2回目の『ミカエルの剣』が終わった後、続けてのターンの最初では、従者:ヤツハシの【みたらし毒団子】がアダムに見事に命中する。抗物理・術力をそれぞれ20%低下させられたアダムに、マツリの右手に持つ
「やったわっ! さすが、あたしの従者:ヤツハシねっ! デンカとは違って決めてくれるところはきっちりと決めてくれるわっ!」
「うっせえ! 俺だって、好き好んでアダムに『ミカエルの剣』を具現化させたわけじゃないんだよっ! 見てろよっ、今度こそ、キレイに【
あら? デンカってもしかしてイケメンが嫌いなのかしら? とマツリはデンカの発言から連想するのであった。マツリ(
マツリも絶世の美少女は顔はわざわざ自分のキャラクターへと選択していないが、そこそこ端正と思える顔にはしてある。ノブレスオブリージュ・オンラインに限らず、ゲームなんだから、その辺り、割りと良いと思われる顔を好んで選択するものじゃないのかしら? とマツリは思うのであるが、デンカはそうではないようなのだ。
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