第6話

《金/97.09.16.》


宅地に群がる雑木林

りりりりり~ん

羽根をあわす虫のささやきが響く

古びた街灯の下(moto)に


朝、涼やかなくもり空下の

蝉時雨

忘れかけた季節を思いおこす

今日8月1日


ほの赤き月光、じわりじわり闇がすいこみ

真黒に閉ざされる

何も存在せぬ漆黒が

束の間世界を支配する

やがて、かすかに漏れいでたるは

赤い光、つきあかり

十五の夜の夢物語

~在らざる今宵の月と亡き母へ


波紋、投ぜらる小石

瞬く間広がってく、みずのわ

同様に、やがて消えゆくスイリン

後に残る静かなる水面(minamo)

そは感情のごときよう。

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