繋がる方法

おいしくるメロンパン

第1話 始まり

「こうせい!いつまで寝てるの!朝ごはんよ。」



階段の下から母親の大きな声が響いてくる。僕はまだ覚めきっていない目を擦りながら階段を降りる。さっき大声で叫んでいた母は既に出かけているようだった。リビングのテーブルの上にはご飯に豆腐とわかめの味噌汁、目玉焼きにソーセージ。いつもと変わらない食事だ。時計は既に8時を回ろうとしていた。

毎日起きては飯を食べ、ゴロゴロしては飯を食べの生活を送っている。周りからはまぁニートといった所だろう。僕の父は高校で教員として働いている。母は病院で看護師。弟は高校生で、地元では有名な進学校に通っている。僕も2年前までは高校生であった。成績もそこそこであった。高校を卒業後は某会社でサラリーマンとして仕事を行っていた。しかし去年、上司による圧力(まぁ一般的にパワハラってやつ?)が酷くなり、鬱状態になってしまった。人と関わるのが嫌になった僕がたどり着いたのは………そうこの生活だ。



この生活はとても良い。ご飯など全て準備されるし、働かなくてもお金は貰える。何より人と関わらなくていいのだから。



不自由ないこのサイコーな生活!そんな生活を送っていたある日…



「ピンポーン」



家のチャイムが鳴った。父と母は仕事、弟は土曜課外でいない…出るのがめんどくさかった僕は居留守を使うことにした。だがチャイムは鳴り止まない。


「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン…」


鳴り止む気配がない…


しょうがないと思い、重い足取りで家のドアを開く。それが僕の人生を大きく変えることになるとも知らずに。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る