少女≒娘≒女性

カゲトモ

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「志麻ちゃんはお冷どうぞ、常盤さんは・・・」

「知らなかったわ、パパがこんなにお酒が弱いだなんて」

 姿勢を正したまま頬杖をついて目蓋を閉じる常盤さんを見て志麻が言った。いやいや、常盤さんは弱い人じゃないよ。でも今日は、

「いつもよりペースが速かったから」

 先程までよく話していたと思ったら今は規則正しい寝息が聞こえてくる。この人は居眠る時すらスタイリッシュだ。

「パパはいつもそんなに飲まないの?」

「そうだね」

 大酒飲みではなくて、ゆっくりと楽しみながら飲む人だから。基本的には三杯くらいかな?

 酔うとちょっとだけいつものダンディさが無くなっておっちゃんクサくなるけど、ちゃんとバーでの飲み方を分かっている人だし。

「でも今は寝ちゃっているわ。バーでなくてもお店で眠るのはどうかと思うけれど・・・こういうのって結構あるものなの?」

「ん~ないとは言えないかな」

 バーでの基本は周りに迷惑を掛けずに自分の空間と酒をゆっくり楽しむものだから、騒ぐのも寝てしまうのもあんまりよろしくない訳で。まぁ普通の居酒屋でも寝てしまうのは店側としても勘弁して欲しいよね。

「本当にお店で寝てしまう人なんているのね」

 いるともさ。今頃どこかで天使がくしゃみをしているだろうよ。

「志麻ちゃんは眠くないの?」

 アルコールを摂取すると眠くなるのは事実だし、第一俺だってそんなこと、とっくの昔に経験済みだ。

「そうね、少し。でも」

「でも?」

「今寝てしまうのはもったいないもの」

 さらりとそう言って透明な液体を飲み込んだ。

 そういう所は父親似か。それとも天然?

「それにお店で寝るのは常識的にどうかと思うし」

 うぐ。

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