精霊

勝利だギューちゃん

第1話

春には桜並木となり、人でごったがえすが、

今は、葉桜となっている・・・

なので、人はまばら・・・


【晴れた日には傘を貸すが、雨の日には貸さない】


桜にも、当てはまるのか・・・

いや、意味が違うか・・・


桜の木に手を当てる・・・

不思議と、桜の心が伝わってくる気がする・・・


(君は寂しくないかい?)

(どうして?)

(咲いている時はありがたがるのに、今は見向きもされない・・・)

(構わないわ)

(それが、私たちだもの・・・)

(・・・そっか・・・)

(春には春の、夏には夏の・・・役目があるわ・・・

私たちの出番は、春・・・)

(春・・・)

(あなたの、心も読ませてもらったわ・・・)

(えっ)

(あなたは今、冬のようね・・・)

(否定しない・・・)

(でも、大丈夫・・・必ず春が来るわ・・・)


植物には心があるのは、科学的に立証されている・・・


しばらく歩くと、コスモス畑が見えてきた。

秋桜と書く、奇麗な花・・・

コスモスの花びらに手を触れる・・・


(久しぶりね)

(覚えていてくれたんだ)

(もちろんよ)

(変わらないね)

(あなたもね)

(もうすぐ冬だね)

(あなたの心と同じね)

(君も同じことを言うんだね)

(誰でもわかるわ・・・)

(・・・そっか・・・)

(でも、大丈夫・・・雪解けは近いわ)

(雪解け?)

(私を信じて・・・ね・・・)


季節は巡るとは、良く言われている・・・


桜と秋桜・・・相性はいいのかもしれない・・・

もし、精霊がいるのなら、会ってみたい・・・


もうじき、春になるという・・・

その時は、どんな花が咲いているだろう・・・


(迎えにきたわ・・・)

(君は・・・)

(あなたが、待ち望んでいた春よ・・・)

(来てくれたんだ)

(もちろんよ・・・)

(僕は、どんな花を咲かせた?)

(それは、あなたの眼で、確かめて・・・)

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精霊 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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