僕の聖夜の過ごし方

勝利だギューちゃん

第1話

空を見上げる・・・

雲行きが怪しい・・・

「ひと雨来るな・・・」

鞄の中を確認ると、折りたたみの傘が入っている。

安堵のため息をつく・・・

「大丈夫だな・・・」


明日はクリスマス・・・

この地方は南国なので、雪は滅多に振らない・・・


駅前には、高層ビルがあり、上階には高級レストランがある。

クリスマスともなると、予約で満席になる。


夜景を見ながら、恋人と向かい合わせで座り、

シャンパンで乾杯をし、高級料理を食しながら、

素敵な夜を過ごす・・・


誰もが、憧れるだろう・・・

だが・・・


「ねえ、待ってよ」

後ろから声がする・・・

「やや、どうした?」

「どうしたって、ふたりで買いだしに行こうで、約束だったじゃない」

「そうだっけ?」

「もう、忘れっぽいな・・・」

「ごめん、ごめん、じゃあ、行こうか」

「うん」

満面の笑みを浮かべる彼女がそこにいた。


翌日、俺達は自宅にいた。

畳の部屋に、こたつがある。

その上には、鍋がある。

その中に、食材を入れる。

昨日買ったのは、この食材だ。


お鍋のなかが、ぐつぐつ煮えてくる。

「そろそろ、食べごろかな」

「そうね、いただきましょ」

中身を取りわける。


「メリークリスマス」

「メリークリスマス」


高級レストランで、クリスマスにカップルで食事をして、

素敵な夜を過ごす・・・


俺達の性に会わないし、絵にならない。


畳の部屋で、こたつに入り、鍋を囲みながら、

差しつ差されつ・・・


その方が、俺達の性に合ってるし、その方が好きだ。

2人で食べる鍋は、とても美味しい・・・


そして何よりも、2人の会話が何よりの、ごちそうだ。


外は雪が降っていた・・・


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僕の聖夜の過ごし方 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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