あくる朝

青山天音

月一度開催される二人だけの「パジャマ女子会」は宴もたけなわ。


麻友と由真は、飲んで、食べて、いつものように和気藹々と夜を過ごしていた。

そろそろ話題が尽きたかと思われた頃、麻友が唐突に話を切り出した。


「そういえば、最近枕を買ったの」


「ふーん?」


切り出すなり、麻友はやおら立ち上がり、ベットにあった枕を引っ張り出した。


「この間、雨に降られちゃって」


「雨宿りついでに入った…リサイクル屋さん? これ、そこで衝動買い。」


「えー、リサイクルショップで枕?誰かが使ったかもしれないじゃん。これだから麻友は〜。でもまあ、ちょっと見せて」


麻友が枕を渡すと、由真は枕をこね回して検分する。


「羽毛、なのね」


「そう、多分新品。で、多分そのお店の人、エプロンをしたおじいさんがいてさ、変なことを言ったのよ。」


一瞬、間を置いて麻友は喋り出した。


「その人が言うには、これは『夢を叶ええる枕』なんだって」


「はあ?なにそれ?ばかばかしい!あ、もうこれ飲んじゃうね。」


そして欠伸混じりに由真は言った。


「そろそろ寝ようよ。明日はあたしバイトだし。んでもって、次はそろそろ恋バナしたーい!」


「そだね、じゃあ、由真は私のベットで寝て」


言いかけた麻友の言葉を遮ってユイは言った。


「いいよ、こっちのマットで寝る。っていうか、そんな枕で眠りたくたくない」


「…そっか。じゃあ、良い夢を」


「おやすみ」



………


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る