第3話🐾見えない壁
ホテルの前に止まっている
タクシーに昊洸を押し込み、
私も乗り、行き先を告げました。
着いたのは私の家。
昊洸を玄関に押し付けドレス姿のまま
少々背伸びをしてキスをしました。
『華瑠‼ 何で僕を連れ出したんだ‼』
怒ると思ってました。
『大丈夫です』
先程と同じ言葉を呟きました。
深影さんは私達と同じ
教師ですが、裏の人間とも
仲が良いのです。
そして、今回の私の件も
裏の方から聞いたそういうです。
『それより、中に入りましょう』
もう一度、背伸びをして
昊洸にキスしました。
一旦、昊洸から離れて
彼を先に上がらせてから
玄関の鍵を閉めました。
さて、ドレスとタキシードのままというのは
窮屈なので着替えることにしましょう。
それとも、脱いだら
服は着ずに
ソファーでシてしまいましょうか(クスッ)
『昊洸、着替えましょう』
とりあえず、名目として
提案はしてみます。
私が彼の前でドレスを脱ぎ始めると
やっと動き始めました。
『華瑠、着替えるなら
部屋へお行き』
慌てた声をだす昊洸。
わざと此処で脱いでいるのですよ(笑)
『昊洸も脱ぎましょう』
タキシードの釦に手を掛けて
外そうとしたら止められました。
『華瑠、お願いだから
先に着替えて来ておくれ』
その言葉を無視して
昊洸の手をどかして
再び、釦を外しにかかりました。
そして、彼の手を引き
ソファーに押し倒しました。
『華瑠、誘ってるのかい?』
その通りですよ。
『そうですよ』
あまり、乗り気ではありませんね……
三ヶ月も触れることはおろか
学校ですらまともに会えず
会話も出来ずにいたのですから
私から誘うくらいよいではないですか‼
それとも、この三ヶ月で
彼女を抱いて、私なんかでは
満足で出来なくなって
しまったのでしょうか……
『すみません』
私は彼の上から降りました。
『華瑠?』
『あなたはあまり
乗り気ではなさそうですので
今日はやめておきます。
いきなり押し倒してしまって
すみませんでした……』
涙を見られないように
浴室に逃げ込みました。
昊洸が無意識に見えない壁を
私の目の前に置いたような
そんな錯覚に陥りました。
私達はもう戻れないのでしょうか……
あの場所から彼を
連れ戻せば丸く収まると
思っていた私は
甘かったのかも知れません。
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