君と僕と

マントヒヒ男

第1話君に会いたくて

君の葬儀が終わり、夏が来た。君が飛び立った電車のホームも今ではいつもの通勤ラッシュで、人が溢れかえっていて、居るだけ汗がでてくる。君がいなくなっても何も変わらなかった。期末テストが散々な結果で終わり、君は本当にこのテストを受けなくて良かったと僕は思うよ。僕は夏休みの補習で、いつもの電車を利用する。君が飛び立った駅を。君はいつも唐突で、僕には何も言わない。僕に相談してくれればって思うけど、君の決断を僕なんかが変えられるわけがない。僕は助けてあげられると思うけど、僕が助けられるようなら、君は1人で抜け出せるだろう。君は死んだ。それを変えることはできないが、君の死んだ理由くらいは教えてくれてもいいだろ。君は僕の事を親友と思っていなかったかもしれないが、僕は親友だと思っていた。君は何を考えていたんだ? 僕には全く理解できないよ。僕は、君に会いたい。

僕は、今も変わらない駅の、黄色い線の外側に立ち、電車が来るのを待っている。早く君に会いたい。

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