第3話
「不甲斐ないとは言わぬ。個々の鍛錬が足らぬとも思わぬ。だが私を討つ為の努力は決定的に欠けていたな」
佐也加は隊員たちに向かい凛と言い放った。
「まず、後方で詠唱をしていた者たち。この者たちの内、数名は護衛されていなかったな。後方からの遠隔魔術は盾となる者を用意しろ」
〈異能〉は、〈
〈魔術〉〈超能力〉〈
〈魔術〉は異能界に
だが簡単なものでも、反対にどんなに複雑な造りをしていても、突き詰めれば、〈コード〉に〈
〈コード〉とは〈魔術〉において呪文や
そして、〈魔素子〉とは〈魔術〉のエネルギーで、多くの場合〈生命子〉――生命力や〈氣〉と呼ばれるものを変換して用いられる。
「〈魔術〉の性質上、多くは『〈コード〉形成』と『〈魔素子〉精製』を行い、『狙い』『放つ』。貴様らがいくら鍛錬を積んだところでこの
さらには、『盾』役の警護と、遠隔魔術を用いた隊員たちの連携の甘さを指摘する。目の前でその甘さを突かれ倒されたばかりのためか、各員その事を重く受け止めている様子だ。
「さて武本隊員。戦闘中にも関わらずパイルバンカーなる複雑な道具にも運動を阻害する事無く、むしろ威力を増す事ができるように〈氣〉を
一回り近く上であろう隊員にも佐也加は平然と言い放つ。
指摘を受けたベテラン隊員たちも佐也加の言う事が酷く真っ当なのか、ぐうの音もない様子で、真剣に頷き彼女の言葉に聞き入っていた。
「それと、新人の中には咄嗟に操氣術や超能力を使う・
〈魔素子〉と〈生命子〉――異能界に於いて日常的にも用いられるこの二つのエネルギーは、同時に扱う事が非常に困難とされている。
〈魔術〉は〈魔素子〉――。
〈超能力〉と〈操氣術〉は〈生命子〉――。
――と、それぞれ合ったエネルギーが必要とされる。
故に戦闘に於いて、〈魔術〉を使用している際には、〈操氣術〉での身体強化は望めないと考えるのが基本だ。
そこで、戦闘時に〈魔術〉を使う者は身体強化系の〈魔術〉や、それに類する〈異能具〉を使用するのが一般的である。
もちろん帝都北方自警軍では、それらの異能具を隊員全員分用意している。
「〈超能力〉持ちに関しては、〈操氣術〉を鍛えるか、超能力を使わず軍用配備品を活かすか各々決めるが良い。武器に関しては、軍刀〈黒川〉は生命子用と魔素子用のどちらも用意してある。〈ERize-47〉はスイッチ式で切り替える事ができる。迷うようであれば先輩隊員に尋ねるのが良いだろう。もちろん、私に訊いてくれても構わない」
とは言うが、恐れ多くて誰も訊きに行かないだろう、と冬鷹は思った。
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