第24話 初ボス戦②

「ぐぅぅ!」


 武骨な鋼に体ごと押し退けられた。

 すかさずゴブリンキングの側面へと回り込み追撃を避ける。

 掴み掛かろうとしていたゴブリンキングの拳は地面へとめり込んだ。


 馬鹿力のクセに素早いって反則だろ!


 内心で悪態を叫びつつゴブリンキングの背面から剣を薙ぐ。


「ギュオァ!」

「ひょ!?」


 ゴブリンキングの背中を斬り裂き喜びも束の間、鉄球のような裏拳が飛んでくる。

 咄嗟に仰け反ると、裏拳は鼻先を掠め通り過ぎた。

 間一髪に何処とは言わないがひゅっと縮こまる。そして改めて自らに油断するなと戒め、再びゴブリンキングの背面を取るためステップを踏む。


 あれだけの重量級、一撃の重さは測り知れない。それ以上に奴に捕まりでもしたらそれでアウトだ。今の俺の力ではふり解く事は出来ないだろう。

 かと言って距離を空けすぎるのもまた悪手。リーチの差があり過ぎてそれこそ此方が不利になる。


 なかなか厳しい攻防だ。


 付かず離れず間合いを見極めこちらが先手を取り続けなければならない。防御にまわればそれこそ一瞬で崩されてしまうだろう。

 そして致命傷を与えるためには【パワースラッシュ】を使う必要がある。

 あれは大きく振りかぶる必要があるため隙がおおきい。さっきは奇襲のような形で当てることができたが、真正面からでは防がれかねない。


「ギャガガガガァ!!」


 などと対策を練っていると、ゴブリンキングが体全体を使って大剣を振り回した。


「っ!?」


 たまらずバックステップで下り距離を取る。

 言った矢先に距離を取らされてしまった。


 悔しがる俺は再びゴブリンキングと向かい合った。そこでゴブリンキングの変化に気づいた。


 離れたことで奴の顔が見える。


 それは怒りに染まるかおだった。


 手傷を負わされたのが余程悔しいのか、その形相は牙を剥き出しで目を血走らせている。その目から伝わる闘志に一切衰えはない。

 こちらの肌が焦げつきそうな威圧が不躾にぶつけられる。


「・・・・ハハ」


 そに闘志に俺の口角が持ち上がる。


「いいぜ、とことんやってやろうじゃないか!」


 そしてショートソードを横に構える姿勢を低くした。


 恐らく一秒にも満たない睨み合い。俺はこの戦いで初めて先制攻撃に駆けだす。


 フェイント無しで真直ぐに、姿勢を低く保ち濡れた地面を疾駆する。


 迎え撃つゴブリンキングの眼光が鈍く光る。その黒ずんだ輝きは疑うべくも無く怒り。


 カウンターとばかりにゴブリンキングから繰り出されたのは、大剣では無く剛拳。


 振り抜かれた岩石の様な拳。

 雨粒と風音を置き去りに破壊と死をもたらさんと落ち迫る。


 視界の全てが拳に覆われた。

 押し除けられた空気の圧迫が前髪を掻き上げるほど、目の直ぐ先に俺の頭ほどある大きな拳が迫る。

 これを喰らえば俺の頭など簡単に潰される。


 だが爆ぜたのは俺の頭ではなく、ぬかるんだ地面だった。


 膝たちにスライディングし上半身を仰け反らせ、俺はゴブリンキングの拳を躱した。


 直ぐ上を通り抜ける拳に正直生きた心地がしなかったが、その甲斐あって目一杯懐に入り込むことが出来た。


 これならが使える!



 俺が覚えたアクティブスキルは二つある。


 【剣技1】と【闘技1】だ。


 【剣技1】で使える技は【パワースラッシュ】。

 その名の通り強力な一撃を剣に乗せて放つ技。

 これであればゴブリンキングに致命傷を与えることができる。

 だがこれには大きなモーションが必要となる。更に先ほどに感触だと胴体に攻撃したのでは倒しきれないだろう。

 仕留めるためには急所を狙わなくてはならない。

 その為にはもう一手必要となる。


 その一手に使うのがもう一つのスキルだ。


 【闘技1】の技である【震撃】。


 これの効果は既に確認済みだ。

 ぶっつけ本番で使う愚かさは既に体験済みだ。だから事前に巨木を相手に試している。


 この技は所謂浸透系の技。

 名前の通り衝撃波を打ち込む。

 これであればいくら肉体が如何に頑強であろうと関係ない。いや逆に強固であればあるほど意味ある技かもしれない。

 しかもこれはほぼノーモーションで放てる優れ技だ。

 難点があるとすれば素手故に間合いが狭いこと。

 その為に今回無茶をして懐に潜り込んだ。


「俺の勝ちだ」


 そう宣言をすると、ゴブリンキングは瞳孔の開いた目だけが俺へと向いた。


 そっと掌をゴブリンキングの腹部に当てる。


「【震撃】!」


 スキル名を口ずさむと同時にスキルを使用。


 エフェクトも無ければ動きも地味な技。

 だがその効果は絶大。


 ズンと短い音が鳴り、ゴブリンキングの体がビクンと震えた次の瞬間、体の穴と言う穴から血を吹き出し膝から崩れ落ちる。


「パワースラッシュ」


 そして止めの一撃。


 両手で持ち上段に振り上げたショートソードを、ゴブリンキングの首へと振り落とした。



『EXPを105獲得しました』


『1500ゴルを手に入れました』


『ゴブリンキングの核を手に入れました』


『ゴブリンキングの大剣を手に入れました』



 光となって消えていくゴブリンキング。

 初めての激戦での勝利に喜びよりも疲労が一気に押し寄せてくる。


 テケテケテッテッテ~♪


 そして場違いな電子音でやっと体から力みが抜けた。


「雨、あがったな」


 気付けば森の中に陽が差していた。





名前:結城晴斗


職業:戦士


Lv:7

HP:56/59

MP:37/45

筋力:12(53)×1.1

耐久:11(53)×1.1

俊敏:11(53)

魔力:10(0)

精神:11(0)

器用:10(53)

運:6


スキル

パッシブスキル:【筋力強化1】【耐久強化1】【HP増加3】【剣術1】【闘術1】【気配察知】

アクティブスキル:【剣技1】【闘技1】


加護

【女神の加護】【出会いの輪廻】【異界の転移】【ゲームシステム】


CP:30

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