第11話 大事な確認

 ステータスとスキルの途轍もない効果に驚きと喜びをひとしきり堪能した俺は深呼吸をして冷静さを取り戻す。そして緩んでいた表情を真剣なものに戻し再びメニューを立ち上げた。


「・・・・・・奴がか、これで分かる」


 本当であればこの事を真っ先に確かめるべきだった。いやもっと言えばこっちに来る前にこれが出来るのかをもっとしっかりと確認取るべきだったのだろう。


 俺はこの【ゲームシステム】で最後の、そして行おうとしている。


 正直な話、これの事は今の今まで忘れていたんだけど・・・・。


 浮かれていたことは否定できない。異世界に行けるとあってそればかりで頭がいっぱいになりもっとも大事な事を失念していた。


 これを愚かと言わず何とするか。


 あの不法侵入してきた婆にいつの間にか俺は絆されていたのかもしれない。こんな基本的なことを忘れてしまうなんて。



「俺、んだよな?」



 そう、こんな重要な事を今迄確認していなかったのだ。


「檜(多分違うけど)の棒で戦う羽目になった時にちらっと帰る事も考えたが、実際は何もしなかった。それどころか今に至るまで疑ってすらいなかったかもしれない」


 ほんとどうかしていた。出来るとは聞いたが、あれの言う事を全部信じていたはずじゃ無かったというのに。


 この手のラノベでも良くあるじゃないか。

 某有名なフルダイブ浮遊城の惨劇とか。



出来なかったらどうしよう」



 行ったきり帰れませぇんなどシャレにならんぞ。

 俺はあくまでも趣味として楽しみたいだけで、向こうでの生活を捨てるつもりは一切無い。仕事だってまだまだあるし、折角作りあげた作品の晴れ舞台をみんなと喜びたい。


 【ログアウト】は確かに【メニュー】の一番下にちゃんとある・・・・・・だが、


「これが機能するかは試さないと分からない」


 あの婆が本当は俺をはめるつもりであったのならば、この【ログアウト】は飾りでしかなく俺は帰れない。

 そんな事をわざわざする必要があるのかそれ自体疑問ではあるが、あの婆どこか愉快犯みたいな雰囲気も感じるんだよ。



 祈るように【ログアウト】を選択した。


 

 次の瞬間俺は異世界に来た時と同じ白い光に包まれた。







「おかえりなのじゃ。いきなりのドタバタ劇はなかなか楽しめたのじゃよ。けれどのぉ・・・・・・・・女神を悪魔と一緒にするのはとても失礼なのじゃと声を大にして言いたいのじゃ!」

「よかったぁぁぁぁぁ帰れたぁぁぁぁ!」


 しわしわの口を尖らせ不満をあらわにしている婆は置いといて、無事に戻ってこれた事に深い安堵で力が抜け四つん這いに崩れた。

 その俺に猛抗議してくる婆。ちゃぶ台をバンバン叩くのは他の住人から苦情が来るのでやめて欲しい。


「何をうとるのじゃ。そんなものは当たり前なのじゃ。だまし討ちして行ったきり帰ってこられないなど、わしはそんな鬼畜なデスゲームをやらせるような下衆では無いのじゃ」

「あぁ悪かったよ。でもそう考えるのは仕方が無いだろ。そもそも始まりが寝ている間の不法侵入だぞ。信じられる要素を探す方が難しい」


 ほんとそれな!


 婆は失礼だと怒っているけど、俺のこの考えの方は至極真っ当だと思うぞ。


 婆も思い当たるのか「うぬぬぬ」と唸り声を上げてる。

 

「てか最初に色々と説明してくれればもう少し信用できもしたのに」

「説明する間も勿体ないとばかりに突っ込んで行ったのはお主じゃろうが」

「うっ」


 今度は逆に俺がぐうの音も出なかった。

 確かに婆の言う通りはしゃいで突っ込んで行ったのは俺の責任だ。だが、だがしかしだ、それだってその前に色々あり過ぎたのが悪いと思うんだよ。


「おっさんの癖に言い訳が子供みたいじゃのぉ」

「おっさんちゃうわい! てかまた勝手に心読むな」


 くそ! 諸々の悔しさに婆から顔を逸らし、ついでに腹いせとして茶請けの煎餅を強奪してやろうと手を伸ばす。


「のわ!? お、お主、いくら何でもそれはやり過ぎだと思うのじゃ!!」


 すると婆が大げさに驚き顔を蒼褪めさせた。ただ若干言動と行動が演技くさくも感じる。

 しかし脈絡の無い唐突な婆の変容に俺は頭の中に?を浮かべた。

 何事だろうかと見開いた婆の視線を追っていけば、それは煎餅を取ろうとしていた俺の手に向かっていた。

 はて、と自分の手を見て俺自身も婆同様驚愕に目を見開いた。


「・・・・・は?」


 と同時に漏れ出るすんとんきょな声。


 それはそうだ。

 何故なら俺の手には確りとが握りしめられていたのだから。


「何で、何でここにも武器がある!?」

「あ、あぶ!! いいからそれをわしからどけるのじゃ!!」


 はたから見たらまるで俺が婆を剣で脅しているかのような体勢。

 慌てふためく俺以上に、目の前で踊る剣に更に慌てふためく婆。


「ほぅ」

「ひょわ!! ごふ!」


 婆のもっともな指摘にテンパっていた俺は思わずその場で剣を手放してしまった。


 すとんと落ちた剣はちゃぶ台のど真ん中に刺さる。

 婆は婆と思えぬ素早さでその場から後ろに飛び退き、狭いアパートの壁に頭を激突。敢え無くうつぶせに床に倒れ頭を押さえのたうち回る。


「何しとんのじゃ、あほぉぉぉぉ」

「おぉぉぉすまねぇ。わわ悪気は無かったんだよ」


 流石にこれは俺が悪い。


 帰って来て早々締まりのない我が部屋だった。




 帰ってこられて安心した早々とんだハプニングに見舞われた。


 やっと落ち着きを取り戻した俺と婆は真ん中に細長い穴が開いたちゃぶ台を挿んで向かい合わせに座る。


 これ、床にも同じ穴が開いてしまったのだが敷金だけでおさまってくれるだろうか?


 因みに問題となった例の物はそのちゃぶ台の上に横置きにしている。


「なんでここにある?」


 当然ながらそれはショートソードだ。


 俺は眉をしかめて警察には絶対バレてはならない特大の刃物を前に眉を顰めた。


 てっきりこの手の物品は日本にお持ち帰り出来ないと思っていたのだが、まさかのテイクアウト可能!?


「手甲まで・・・・」


 そして両腕にはロングティーシャツにとても似つかわしくない武骨な防具が。


「まさかお主に刃物で脅されみだらな行為を要求されるとは思ってもいなかったのじゃ」

「人聞きの悪いこと言うな! それと例えどれだけ自暴自棄になったとしてもそれだけは要求しない事は確約する」


 まったく、さらりと俺の心を荒ぶらせるような言動はやめて欲しい。例え殺しはしてもみだらな行為だけは絶対にありえない。もしかしてぼけてんのか?


「ボケてなどおらんわ! あと殺すのもありえなくして欲しいのじゃ!? ほんにお主と話をしていると疲れてたまらないのじゃ」

「いやそれは俺のセ」

「してこれがここにある理由じゃったかの」

「おい」

「ケケケ、そう怒るでない。短気なのは人生損をするのじゃ。人間大らかに生きた方が楽で幸せになれるものだぞ・・・・・・・・あぁ解った解った。そんな睨むでない。まぁなんじゃ、これがここにあるのが不思議みたいじゃが、それは別に特別な事ではないぞ。良く考えてみるのじゃ。もし何もかにもが双方間で持ち込みが出来ないとなれば、お主は世界を越えた瞬間に真っ裸なのじゃ」

「確かに!?」


 それは・・・・・嫌だな。

 異世界に行くにも帰って来るにしても常に真っ裸ってどんな罰ゲームだよ。


「当然駄目なものもあるがのぉ。基本的にこちらで実現できるもの、或いは向こうで実現可能なものであればお互いに持ち込むことも出来るのじゃ。その剣にしてもただの質の悪い鉄製の剣じゃし、そもそもそれはわしが与えたものじゃ。ここにあったとしても何の不思議も無いのじゃ」


 いやハッキリ言って不思議しかないのだが、婆の言い分にはある程度納得も出来た。


「にしてもだ。これは問題じゃ無いのか?確かに実現は可能だけど、こう倫理的と言うか法的に問題あると思うのだが」

「それはこの国が勝手に定めたことなのじゃろう。別な国であれば問題も無くなるし、そもそもそれに似たようなものをこの国でも作っておるじゃろ。ならばそれがここにある事で不具合などおきもせんのじゃ。それにのぉ、何故に女神たるわしがたかだか一国家が決めた事に縛られねばならんのじゃ」


 おぉう、身もふたもない。


「まぁそうは言うが何もかもを許可するつもりはわしも無いのじゃ。それなりにルールはちゃんと決めておる」

「武器は良くて何が駄目なんだ?」

「あくまでもわしの裁量となるがの。まず生き物は駄目なのじゃ。食品として加工されておればまだ別じゃが、生のままや死骸などもこちらには持ちこめん。検疫は色々と面倒なのじゃ。下手に生態系が変わると責任問題に発展するのじゃ。だから生き物は駄目・・・・あ、ただし特別にその者だけは許可するのじゃ」


 どうやら神の中でも責任問題があるらしい。

 それがあるから生き物関係は駄目なのだとか。


 にしても・・・・・・・・・


「な、なぁ。それってあのってやつのだろ。それは異世界でも有効になるってことか?」

「貰えるて・・・・・まぁ違いは無いのかのぉ。お主が言う通りそれはこちらでもあちらでも有効なのじゃ」

「ならその俺の嫁って・・・・例えばその・・・・・・ケモ耳娘でも、いいの?」


 異世界の嫁と言えばあれだ、ケモ耳娘とエルフ美人とかエロフとか奴隷とか。

 照れてしまって小声で俺がそう言うと婆が呆れた顔をする。


「・・・・お主、そういうのが趣味なのかえ?」

「ちゃ、ちゃうわい。興味本位に訊いただけだい」

「口調が変になっておるぞ」


 やめろ! 婆のジト目、誰得よ。


 いや、俺としてもそれを本気で実行しようと思っている訳じゃ無いんだよ。特に奴隷とかさ。ほんとだよ?


 でもさ、でもだよ。ほら異世界だぜ。異世界と言えばみたいな定番ってあるよね。


「はぁ、全くこの国の男どもはほんに業が深いのじゃ。じゃがまぁ、そうじゃのう。もしそんな場合であれば普通に人として見える程度にはわしが変えてあげるのじゃ。それに戸籍云々も何とかしてやるので安心するがいいのじゃ。じゃがまぁケモ耳やらエルフに関してはのじゃけどな。ともあれ、生活に困らない程度にはしてあげるので存分に嫁さん探しをするといいのじゃ。ほんにわしは面倒見の良い女神なのじゃ。あ、あとこっちでは魔法は当然使えんので注意するのじゃ。それと魔法に関するものの持ち込みも駄目なのじゃ」

「お、おぉう」


 どうやらアフターケアまで確りとしてくれるらしい。婆いいやつ。今後は『ばばあ』では無く『神さん』とでも呼んでやろう。


 取り敢えず嫁云々は置いておくとして、ばばあ改めかみさんの判断で色々と持ち込みが可能みたいだ。

 で、魔法関係は駄目で武器は有りと。

 俺的にはこのショートソードも論理的にアウトなんだが、どうやらただの鉄製の剣は『デカい包丁』程度の考えでしかないらしい。


「鉱物とかはどうなんだ? それもこっちにある物質ならオッケーなのか?」

「そうよのぉ。基本的には問題無いのじゃ。金や希少鉱物を持ち込もうと思っておるのじゃったらやめておいた方が良いのじゃ」

「え、何で?」


 それならばと俄かに考えた『これから生きて行く中で楽にお金を稼ぐ方法』は事前に思考を読んだ神さんに何故か忠告されてしまった。


「売るのが面倒じゃろう? どこで手に入れたか言えんのじゃぞ、そんな出所があらしいものを大量に売ろうものなら、直ぐにお主の身の回りの身辺調査が始まるのじゃ。そして何れ国にでもバレようものならお主の身柄がどうなるのか分からんのじゃ」


 な、なるほど。


 持ち込んでも下手に人に見せるのはやめておこう。売るのは論外、と。


 そう言えばと時計を見れば、俺がテレビの階段に踏み入ってから20分程度しかたっていない。


 その20分も戻って来てから経過したて時間だよな。そうなるとやっぱり向こうにいた時間はカウントされていない、のか?


「本当に時間、止まってるんだな」


 秒針は確りと動いている。時計が止まっていたわけではない。


「うむ、凄いじゃろ。して、どうじゃったのじゃ? 初の異世界は」

「ん、おう。なかなか楽しそうな予感がする。モンスターも倒せたしなんとかなりそうだ」

「それは重畳なことなのじゃ。楽しんでもらえたのであれば何よりなのじゃ」


 柔らかな笑顔を見せる神さんは、それだけ見れば気の良いお年寄りにしか見えない。


「なぁ、あっちの世界にも人が生活しているんだよな」

「当たり前なのじゃ。わしが管理しておるれっきとした分明世界なのじゃ。当然人はおるし国が幾つも存在しておる」

「あのさ、その世界で俺は自由にしていいって言ったけど、それって拙くはならないの? ほらさっき生き物以外は持ち込み大概OKって言ったけど、それって逆も同じなんだろ。そうなると俺がこっちの文明を自由に持ちこめることになるんだぞ。まだどんな文明の発展をしているのか分からないけど、こっちでの化学製品とかは拙いんじゃないのか?」


 これはさっきの逆の疑問だ。

 楽しめ楽しめと言っていたが、異世界から来た俺が自由気ままに振る舞うことで世界のバランスが崩れてしまうのではないだろうか。


「別に気にせんでええ。お主はお主の思うがままに行動すれば良いのじゃ。流石に犯罪行為や大量虐殺などをされては困るのじゃが、そうならん人物としてわしはお主を選んでおるからのぉ、その辺りは心配しておらん。それ以外の事であれば基本わしは口出しはせんから自由にしてもらって構わん。仮にそれで世界のありようが変わろうとも、それがその世界の辿る進化の一つでしかないのじゃ。誰かが発明するのも、発明されたものが参考になるのも、結果としてはそう大した違いでは無いのじゃ。流石にこっちの世界はわしの管轄外じゃからのぉ。度が過ぎれば注意はするが、わしの管理する世界であれば構わないのじゃ」

「そう言うもんなのか?」

「そんなもんなのじゃよ。それで何が変わっていくのか、それものわしの楽しみの一つなのじゃ」


 何だか無責任な言葉にも聞こえるが、その言葉で俺の憂いは消え去った。自由にしていいというのであればそうしてみよう。このストレス社会から解き放たれるが手に入ったのだ。


 自由にか、いい言葉だ。


 それならば何にも縛られない自由な旅人をしてみるのもいい。

 冒険者はいるのだろうか? もしなれるのであればなってみるのも面白い。


「ああ、そうだな。それなら俺も思う存分楽しんでこよう・・・・て、あ、そうだ!?」


 俺は他にも訊きたい事があったのを思いだした。


「俺のジョブに【システムエンジニア】ってのがあるんだけどさ、それはもしかしてここに居る今の俺って事?」

「ふむ、概ねはその通りなのじゃ。向こうでは、そうじゃのう便宜上『エナ』と呼ぼうかのう、そのエナがある為色々とお主の力を増幅できておる。お主も見たであろう、ステータスやらスキルやらは」

「おう、あれはなかなか良いシステムだと思うわ」

「ケケ、そう思ったのなら重畳なのじゃ。そのシステムを介して増幅しておる主の力はあくまでもエナが無ければ働かん。エナが無い場所、つまりはここじゃのう。ここでのお主の力は依然と変わらんものでしかない。いくら向こうで超人的な能力を身に着けようともこちらに戻ってくれば常識的な身体能力に戻るのじゃ」


 なるほどな。大体考えていた事と同じか。

 それならば「人間やめます!」って宣言しなくても大丈夫そうだ。


「もう一つ訊きたいんだが、あのジョブを分ける意味ってのも何か在るのか。確かに育成するのは好きだから特に文句はないんだが、逆にその仕組みを作る方が面倒じゃ無かったのか?」


 あの仕組みは素直に面白い。やり込み要素的な感じがして俺としては嬉しいのだが、よくよく考えれば面倒な仕組みだと思う。それをわざわざ作った意味が分からなかった。


「あれは苦肉の策じゃな」

「苦肉の策?」

「うむ、そうじゃ。お主の人としての器があまりに小さいもんじゃから、ああして小出しにせねば満足な力が与えられんかったのじゃ」

「おい!」


 人としての器が小さいとかふざけんな。


 確かに加藤が買ってきたスナック菓子を勝手に食べたときは怒ったし、いつもいつも当たり前の様に残業を強いる室長に呪いの念は送っているが、決して俺は器が小さい訳では無い。


「別な意味で言ったのじゃが・・・・・お主、確かにちいさいのぉ」


 やめろ、下半身を見ながら言うのはやめろ。

 また違う意味での小さいに聞こえるだろうが!!


「分った。あれはあれで楽しめそうだからいいよ。あ、そうだ、ジョブに関してもう一つ訊かないとといけないのがあった。あれは何だ、あれは」

「あれ、とはなんじゃ?」

「あれだよ。【使徒】とかってやつ」


 そうだ大事なのを訊くのを忘れるところだった。

 あの物騒なジョブ。どう考えても真面だとは思えないもの。


「ケケケ、ちょっとしたプレゼントなのじゃ」


 それを問い掛けると婆はにやりと笑う。まるで悪だくみをする魔女の様な笑み。

 そんな気持ち悪い笑い方してそんなこと言われたらなおの事信用ならない。


「あれにするとどうなるんだ? ハッキリ言って呪いでも降りかかりそうで怖いんだが」

「使ってみればわかるのじゃ。ただそうじゃのう。使、とだけは言っておこうかのう」

「うわ、より一層使う気が失せるわ」


 結局婆はそれ以上の説明はしてくれなかった。

 なので取り敢えず封印続行と言う事にする。


「さて、それ以外にも気になっている事は多そうじゃが。どうする? 知りたいというのであれば教えんでもないが」


 神さんの提案に俺は思案する。

 神さんに訊こうと思っていたことは確かに多くある。その一番となるのは【ゲームシステム】の全容、ステータスの事、スキルの事、それ以外にもレベルやCPといった、俺には分からないことだらけだ。


「いや、いいや」


 けどやめた。

 何だかそれを知ってしまったらつまらなくなってしまいそうだから。


「ケケケ、お主のそういう所は好きじゃぞ」

「全く嬉しくない」

「照れ屋じゃのぉ」

「ちゃうわ!!」


 俺は溜息を一つこぼす。


 何はともあれ楽しめる環境は出来たのだ。折角もらった趣味を神さんに言われた通り楽しませてもらおうじゃないか。


 テレビのチャンネルをあの階段の所に合わせた。

 そうだ、ここを『異世界チャンネル』とでも名付けよう。


 前回と同じようにテレビ内に現れた階段、そこに足を踏み入れた俺は何となくそう言う気分になり振り返った。


「行ってくるよ、かみさん」


 すると神さんは始め驚いた顔をしていたが直ぐに笑顔でこう返してくれた。


「行ってこいなのじゃ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る