第62話 魔我羅、始動
結果から言うとダンダム民の忠誠度はチョロかった。
俺とサーラちゃんの火球連弾に続き、ダンダム親子の風撃。そしてブリスロック隊による空爆の演習だけで忠誠度MAXになった。
この辺は全然理解が及ばない。
現代日本で暮らしていた俺には完全に意味不明なのだが、当然の様により強い暴力に迎合してしまうのだ。チョロいとしか言い様がない。
妊婦のダリとロイ以外の旦那達にゴブリン村を任せ、俺を含む主要メンバーとブリスロック隊、忍者隊森羅、団長以外の元傭兵団魔我羅男はダンダムに入る。住民達はメンタル大丈夫かと思うくらいの熱烈歓迎ぶりだ。
攻め落とされた側が何でこんなに歓迎しているのか⋯⋯。
殲撃の魔王、魔我羅と凶悪な名で呼ばれる男を迎え入れるのに何んなんだこの歓迎ムードは⋯⋯。
こんなに熱烈歓迎するくらいならもっと移民募集に乗ってこいよ!もう一度言わせて貰う。メンタル大丈夫か!
ガロス達とマックスの誇らしげな顔に彼等にとっては凱旋なのだと思い直し、大人しくパレード状態で堂々と正面から入城する。
そうして、マックスとエメリーヌにとっては勝手知ったるお城が俺達の新しいマイホームとなった。
カルチャーショックが大き過ぎてスルーしていたが、影薄隠密な正統派美少女ディートはエメリーヌとサーラちゃん付きの侍女に収まっていた。陰謀の香りがそこはかとなくするが、ボディーガードとしても優秀なので配役に否はない。着ているフリル多めのメイド服もどうせ先達迷い人製だ。いちいち突っ込まない。
「レイン。帝国はどうなっている?」
「はっ。現在は南方の宿場町に駐屯中、魔我羅への到着は明後日でござる」
魔我羅ってここ旧ダンダムの名称になったのかな?紛らわしいな。
「殲滅してきましょうか?」
ロイがどんどん脳筋になっていく⋯⋯俺が殲撃とか物騒な二つ名言われてるの大体ロイのせい。
「いや、ダンダムが落ちた事くらいは伝えた方が良いだろう。威嚇くらいで追い返したい」
「御意に」
向こうはダンダムが落ちている事は知らないはずなので降伏勧告くらいはするだろう。
「ガロス、エメリーヌ。向こうの使者の対応を頼む」
「了解した」「承知しました」
最後の風撃魔具の譲渡を条件に文官筆頭に返り咲いたガロスと外交面の補佐にエメリーヌの布陣だ。渋るガロスの説得は中々骨が折れた。
「マックス。ブリスロック隊と森羅と協力して治安の維持を頼む」
「はっ、承知しました」「御意に」
住民の反応を見ていると騎士団という暴力装置って統治に重要だったんだなと思い知った。血筋だけで決まる職業軍人なんて金の無駄だと思っていたが、子孫ごと忠誠を誓わせるくらいの組織じゃないとクーデターが起きまくるのだ。そりゃ魔具を手に入れたらお披露目会もするわな⋯⋯。
「威嚇射撃は派手な火球が良いだろう。俺とサーラで行く」
「うん!」
出番が嬉しかったらしい。ニコニコだ。
「では各自掃除!」
使用人もおらず、碌な手入れをされていなかった城は無駄に広く掃除が大変だった。
そして、悪の手先っぽい魔我羅男達はやはり町娘達にモテモテだったらしい。何か羨ましい。
忙しいガロスにも旧ダンダム有力者筋から複数の縁談が舞い込むのだが、こちらは利害調整が大変そうだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます