第26話 初めての金貨
名実共にダンダム傭兵団のエース傭兵になってしまった俺は、ダンジョンから出るとすぐにダンジョン入り口脇に仮設置された救護施設で肩を嵌めて貰った。しばらく安静だそうだ。
救助された騎士達はフルプレートを切ったり曲げたりと工作作業みたいだった。3人とも骨折数箇所にあちこち出血もしており生きてはいるがかなりの重症だろう。手足が捥げちゃってる人もいるし。
ポーションらしき物はあったのだが即治るものではない様だ。新陳代謝を活発にして治りを早くする程度と考えておく事にした。無論、俺には貰えてない。肩嵌めたからもう帰っていいそうだ。
気になって聞いてみるとポーションは魔素溜まりに生える薬草で作るそうな。賞味期限が短く高級品らしい。
思い起こせば、俺の体もヤケに頑丈だったかも知れん。一応減速も掛けてたけど少なくとも時速100kmは出てたはず。
そんな速度であんなデカ物に当たればこんな怪我では済まないはずだ⋯⋯。知らんけど。
⋯⋯魔素かマナで筋力UPはしないけど丈夫さUPはしてるかも知れない&回復速度UPかも知れない仮説も追加と。チャクラ開きっぱなしは中丹田だけなら出来ているので下丹田も練習だな。
中丹田は肺から魔素吸収&下丹田は食い物から魔素吸収仮説もあるけど。
傭兵団詰所に戻ると報告は済んでおり、報酬があるから明日顔を出せとの事。まだ肩とか痛むんですけど。
飯食ってサーラちゃんを撫で撫でして早目に寝た。
◆◆◆◆◆
昼過ぎに傭兵団に顔を出すと団長が満面の笑みだった。
「シュウ!よくやってくれたな!」
おっと!肩に触れるんじゃねぇ!
「死ぬかと思ったぞ。鎧は壊れたし肩も外れたしな」
「しかし、魔獣を単独で討伐するとはな⋯⋯しかも一撃とは」
「⋯⋯うん?単独ではないだろう?」
「他の連中は見てただけだと言っていたぞ」
あーまぁ確かに。
「それでも注意を引いてくれてたから奇襲が上手くいっただけだ。単独だったら死んでいたかも知れん」
「まぁそうかも知れんが他の連中も礼を言っていたぞ」
「⋯⋯誰も死ななくて何よりだ」
「そうだな。お前のお陰だ」
救助の報酬として何と金貨1枚だった!銀貨100枚分!スゲー。
ついでに馬魔獣の魔石も独り占めで良いらしく大銀貨2枚も貰った。
救助した騎士の中に領主の三男も居たらしく報酬も大盤振る舞いだったらしい。そりゃ団長もご機嫌だ。
「そういえば腕章を返却しようと思ってな」
「それは持っててくれ。預かっていた銀貨は返そう」
何でも既にダンダム傭兵団の一味として認知されてしまっているからだそうだ。
「これ貰ったままゾッド傭兵団に入ってもいいのか?」
「そいつは困るが⋯⋯お前がゾッドで活躍しても街の連中はダンダム傭兵団が活躍してる様に思うだろう。だからゾッドもあまりいい顔をしないはずだ。緊急命令もウチだけに出るモノじゃないしな」
「まぁ特にその予定はないんだが」
「報酬も色を付けてやるから今後も頼む」
おお、何か報酬が良くなるらしい。
「後は⋯⋯領主から呼び出しがあるかも知れん」
あーやっぱり?そんな気もしてた。
「⋯⋯怪我もあるし、しばらく休みたい」
「宿だけ教えといてくれ」
またダンダムか⋯⋯。
日帰り出来ないんだよなー。サーラちゃんどうしよかな。
「それならダンダムで休む。向こうの詰所に顔を出せばいいか?」
「そうだな。それで頼む」
金も入ったし装備も向こうで買おう。サーラちゃん連れて。
「救護施設の料金は銀貨1枚だったが腕章の預り金で相殺しとくがいいか?」
「⋯⋯あぁ、そうしてくれ」
肩嵌めるだけなのに高ぇな救護施設!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます