君はいつもそこに居たから

 10年くらい前だろうか。


 君に初めて会ったのは。


 はじめまして、のときから、わたしは君のことが好きだったんだよ。


 わたしが君のいる場所へ通うようになってから、君はいつもそこに居たよね。


 爽やかな笑顔でいつも迎えてくれた。


 その場所に行けば、いつも君に会えたんだ。


 だけど話したことはなかったよね。


 ただ一瞬すれ違うように、心の中で「こんにちはまた来たよ」そうわたしは言っていたんだよ。


 ずっと君はそこに居る。


 そう思っていた。


 だから立ち止まることもなく、爽やかな君の笑顔を眺めるだけだったんだ。


 また会えるから。


 そう思っていたから。


 なのに。


 突然、君はいなくなってしまった。


 突然の豪雨と土砂崩れで、君は流されてしまったんだね。


 何処へ行ってしまったのだろう。


 君はもう、あの場所には居ない。


 そよそよと風になびく君の姿がみつからないんだ。


 また会いたいよ。


 あの場所に居た。


 パンパスグラス……。


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