麒麟の噺 短編集

@kirin8748

第1話 ずーっとともだち

俺と雄大は幼馴染でよく昔からよく遊んでいた

雄大が親の転勤で引っ越すことになった時はずっと泣いたものだ

そこで 離れていてもずーっとともだちだと誓った


それから13年の時がたった今も、記憶が鮮明に蘇る

でも13年も会ってないし 今何処にいるか連絡先も知らねえしな…

都内にあるカフェでそんなことを思いながら友人を待っていると、友人の修斗がトイレから帰ってきた

「おい、帰ってくんのが遅いぞ」

と笑いながら言った俺は 残っていたワインを飲み干し、

「よし、帰るとするか」

「もう帰るのか?勿論割り勘だよな?」

「えー マジで?」

「嘘だよ嘘、ハハハハハハハ...」

会計を済ましたあと 外に出て今の時間を確認してみると短針が十一時を指していた

「うわっもうこんな時間か 急がないと終電に間に合わないぞ」

と走って駅まで向かった

「ふー ついた あと何分だ?」

「あと47分だ」

と修斗は息を切らしながら言った

改札を通り 階段を登るとき少しふらっとした

酒のせいだろと思いながらいつも乗るに使う電車に乗った

すいていたので座席に座り 修斗と雑談をしていた

修斗が家の近くに降りて 暫くすると いつの間にか寝ていた

どのくらい寝ていたのかと携帯を見たらいつの間にか2時になっていた

びっくりして外を見るとさっきまでビル街の都会にいたはずなのに 周りには畑が一面に広がる田園風景が広がっていた

電車は一向に止まる気配はなかった

それに自分以外の乗客は全くいなく どこを探しても誰一人見つからなかった そして運転手を探してひたすら一方向を目指したが 何故かどんなに走っても運転席はなかった

俺は携帯で誰かに連絡をしようとしたが 圏外で警察にもかけれなかった

窓を壊そうにも 扉を開こうにも どんな力を使っても出ることが出来なかった 外の景色は変わらずひたすら田園風景が続くだけだった 俺はこの電車がどこに向かっているのか考えているうちに 電車は急に止まった

すると急に扉が開き外に出ようとした

しかし外に出れない 出ようとすればするほど 中に戻ってしまう 必死に外に走っているうちに 何かがドアの前に出てきた



ただ

見たまんまに言うとそれは人の形をしていなかった

頭に手と足が生えたような奇妙な姿をしていた

それは血まみれでこの人の血だけとは思えないほどの血がついていた



「ねえ...」

とそれは言った

すると

「助けて...」

と それは泣き出した

その血塗れの顔をよく見ていると

ぐちゃぐちゃになった顔を見つめていると


雄大の面影を少し感じた

「お前...もしかして雄大?」

それは首を振った

そして雄大が喋った

「助けてくれぇ謎の女に追われていて殺されるよぉ

ずーっとともだちだろ?

ずーっとともだちだって誓っただろ?」

と いかにも生きているとは思えない容態で言ってきた

「ええ..?」

と戸惑っているうちにドアが閉まってしまった

電車が発車してしまったが 窓からは雄大が女に連れ去られるところが見えた

そして見えなくなるぐらいでその女と目が合った


そこで気を失ってしまった





気づけば自宅の布団の上にいた

起きようとしたが、起きることが出来なかった なんか 胴体がなくなったような 足が動かしにくいというか...

そして全身鏡を見て俺は悶絶してしまった


体があの雄大と同じ姿になっていた


ショックでぼーっとしていると

急に声が聞こえた


「あの時助けてくれたら...

あの時助けてくれたら...」

と声が聞こえた 最後に見た顔は雄大の苦しむ顔だった



友達が死んだ

何とも バラバラ殺人で顔に手足がつけられていたようなものだったらしい


友達は

とても後悔したような顔で

血まみれで涙が溢れていた

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