現代病床雨月物語 第十八話 秋山 雪舟(作)
秋山 雪舟
「大阪北部地震と不可思議な体調不良、 そして『太陽の塔』」
2018年6月18日、午前7時58分、震度6弱・マグニチュード6・1の地震が大阪北部に発生しました。大阪では観測史上始めての出来事です。観測を開始して95年目の出来事です。6月22日までに、死者5名・負傷者406名・住宅損壊3416棟に及びました。
私の住んでいるマンションもエレベーターが止まり、家の中は食器が飛び出し割れました。またテーブル上の物が散乱しました。幸い家族に負傷者は出ませんでした。妻(宝雪)は阪神・淡路大震災の経験がありガスは直ぐにガスメータをリセットして復旧させました。電気の被害は何もありませんでした。家具や書棚には『突っ張り棒』をしていたので転倒することはありませんでしたが中の収納物が飛び出しました。おどろいたのがテレビでした。テレビには私がゼリー上の耐震シートを下に敷いていました。テレビは倒れず普通に付いたままでした。私が地震後に勇気づけられたのは、『太陽の塔』です。大阪万博(1970年)以降も一塔で頑張り、最近の耐震補強で孤高の人のごとく涼しい姿で超然と佇んでいるからです。
1596年の慶長伏見地震では、奈良の東大寺の大仏より大きい方広寺の大仏は倒壊しました。豊臣秀吉が「自らの身を護れないのか」と激怒したと伝えられています。これ対して奈良の大仏殿は倒壊をのがれています。
今も訳が解からないのが地震前日からの私の体調の変化です。地震の前日の夕食に温かい汁物を食べました。鼻がゆるくなったので鼻をかみました。すると不思議なことにテッシュに血が付いていたのです。それも左の鼻だけです。私は血小板の治療以後は正常値なので一度も鼻血など出た事がありませんでした。その時は、頭や体が熱っぽかったので体温を測りました。35度5分の平熱でした。それでも熱っぽいので私は妻(宝雪)に早く寝ると言って、おでこに熱を冷ませるシートを張り床につきました。
次の日の朝(地震当日)は、早く起きました。なんとなく体がだるく寝た感じがしませんでした。その朝は曇りで今にも雨が降って来そうな空模様でした。私は、子供のころから雨の日はお腹がゆるくなるので外出するのが嫌でした。その日も出勤で家を出るともうすでに雨が降っていました。嫌な気分と共にお腹もゆるくなってきました。いつもなら各駅停車で座って行くのですが途中で新快速に乗り換えいつもより早く兵庫県の仕事場にたどり着きました。私は新快速の中で妻(宝雪)に、マンションの管理人さんに相談したい事があるので管理人室の電話番号を教えて下さいとメールを送信していました。いつもより早く仕事場に着いていたので妻(宝雪)に電話をかけました。すると妻(宝雪)は、わざわざ1階の管理人室まで電話番号を確かめに行っていました。その時、管理人さんがちょうど出勤して来たので直接話をしている時でした。その後すぐに電話から妻(宝雪)の「キャー!」と言う声が聞こえました。私は「どうしたんやー」と言いました。その1・2秒後に私のいる兵庫県でも地震が来ました。妻(宝雪)と私は地震と判ったので直ぐに電話を切りました。
その日の遅くにマンションに辿りついた私は、エレベーターが壊れていたので8階まで階段で上がりました。家の中は、ほとんどかたづいていました。妻(宝雪)は、朝の電話を切ったあと1日がかりで地震で散らかった部屋をかたづけていたのです。
妻(宝雪)が私の顔を見るなり「今日はあんたに助けてもらった感謝するよ。もし地震の時家にいたら怪我していたと思うから」と言われました。そして体調はどうですかと聞かれ、私は兵庫県に着いたら良くなったと応えました。不可思議なこともあるものだとつくづく思いました。
まだ余震があり不安ですが頑張ります。
現代病床雨月物語 第十八話 秋山 雪舟(作) 秋山 雪舟 @kaku2018
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