青いキャンバス

勝利だギューちゃん

第1話

秋のある晴れた日の休日・・・

僕は、外へ出た。


僕は本来は、出不精で、あまり外へは出ない。

休日は家に引きこもっている。


窓を開けてみたら、風が気持ちよかった。

(たまには、いいか・・・)

外へ出る事にた。


外へ出て空を見上げる。

青いキャンバスに、白いラインが描かれている。

(飛行機雲か・・・)


白いキャンバスには、色々な物を自由に描ける。

だが、青いキャンバスに描かれる白い作品は、とても美しい・・・


子供の頃は、草原に寝そべって、指を差し、

「あっ、プリンだ」

「あっちは、ソフトクリームだ」

よく遊んだ物だ・・・


でも、大きくなると素朴さが損なわる。

これが、幸せなのか、不幸なのかは、わからない・・・

人によるだろう・・・


この辺りは、路線バスが通っている。

多くの人は、それを利用する。

だが僕は、バスは好きじゃない。

なので、歩くことにしている。


運動は苦手だが、歩くのは好きだ・・・


僕は弱い人間だ・・・力も、そして、心も・・・

だけど、立ち止まりはできない。

立ち止まっていては、後から来る人の邪魔になる。


なので、常に前を向いて歩いている・・・

追い越される事はあっても、追い抜く事はない・・・

それで、いいと思っている・・・

それが、僕・・・

それが、日常・・・


   「ねえ、○○くん」

   「何?」

   「○○くんは、友達いる?」

   「いると思う?」

   「思うよ」

   「変わり者もいるんだね」

   「悪かったわね」

   「どういう意味?」

   「私は、○○くんの友達と思っていたんだけど、違ったかな・・・」


冷やかしだったのか、冗談だったのか、それはわかない・・

ただ・・・


「あなた、待ってよ」

後ろから、嫁の声がした。

「散歩に行くなら、連れてってよ」

「君なら、追ってくると思ってた」

「もう、昔からつれないな・・・」

「じゃあ、一緒にいくか?」

「うん」

嫁は腕をからませてきた。


「おい。恥ずかしいじゃないか?」

「いいじゃない。夫婦なんだから」

「しょうがないな・・・」

照れくさい・・・でも、悪い気はしない。


「こんな幸せもありか・・・」

僕は今日も、前を向いて歩き続ける。


僕だけの、テープを切るまで・・・



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青いキャンバス 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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