B級能力者相談所スピンオフ②浮間舟渡の置物

あきらさん

第1話

 ガシャン!!


 やってしまった……!

 京子先生が大事にしていた浮間舟渡の置物を割ってしまった……

 僕の名前は柳町 新右衛門。

 B級能力者相談所で京子先生の助手として働く、23歳の性欲盛んな青年だ。

 今日も朝から相談所の掃除をしていたが、つい手がすべってしまい、京子先生が大事にしている浮間舟渡の置物を割ってしまったのだ。

 何とか京子先生にバレないように隠さなくては……と思っている最中に、扉の向こうから京子先生の足音がしてきた!


「おはよー柳町君。浮間舟渡の置物を割ってどうしたの?」

「早速バレてる~!! す……すみません!わざとやった訳ではなく、掃除をしている最中に、つい手がすべってしまって……その……落としてしまったんです!」

「ふ~ん……そうなの……」


 明らかに京子先生の目は死んでいた。


「大丈夫よ。それ、あと87ダースあるから」

「87ダース!? かけることの12ですか!?」

「あなたと一緒で、代わりはいくらでもあるの」


 ヒドイ……こんなに一所懸命に頑張ってるのに、代わりはいくらでもいるだなんて……


「それ、危険な科学物質で作られてるみたいだから、拾う時に気を付けてね」

「そんな危険なんですか!? 一体どんな素材で出来てるんですか!?」

「チャーシューとアコーディオン」

「その素材で本当に出来るんですか!? 少し美味しい部分あるじゃないですか!! 良い音色奏でてるし!!」

「あと、半分は優しさでできているらしいわ」

「バファリンか!! 危険な科学物質って、もしかしてバファリン!?」

「そもそもだけど、浮間舟渡の置物って何なの? 小汚ない!」

「知りません!! 京子先生が87ダース買ってきたんでしょ、?」

「買った訳じゃないわよ。欲しい物があってガチャガチャをしていたら、ハズレでたまたま出たのよ」

「87連チャン!? 元々、何目的でガチャガチャしてたんですか!?」

「ゴリラの使用済みブーメランパンツよ」

「それ欲しいですか!? 個人の趣味だから、細かい事はとやかくは言わないですけど、出るまでやるガチャガチャの類いではない!!」


 どっちが当たりの商品だか分からないが、どっちも小汚ない事は確かだ。


「結局そのパンツ、5つしか出なかったの」

「出たんですか!? っていうか、1個でやめなかったんですね!? 」

「本当は全7種コンプリートしたかったんだけど、結局1種しか当たらなかったの」

「同じ柄、5つだったんですか!? それ、めっちゃ落ち込むやつじゃないですか!!…………っていうか、もしかしてですけど……」

「そう。先日、柳町君の家に送った3つが……」

「あれが、そのブーメランパンツか!! 京子先生がこういうパンツを好きなのかと思って、出来るだけ仕事の日は履いていたんですけど、まさかそのパンツだったとは!」


 ちなみに今もそのパンツを履いてます……


「柳町君の実家の方には、この置物を86ダース送ってあるわ」

「言ってたー!! そういえば、母さんが変な置物いっぱい来たって言ってたよ!! もう、 実家にまで変な嫌がらせしないでください!!」

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B級能力者相談所スピンオフ②浮間舟渡の置物 あきらさん @akiraojichan

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