第3話許嫁③
何この状況……
私と叔父さんは、せつのお父さんである
叔父さん達はお酒も飲んでいてほろ酔い気分で楽しそうだ。
なのに、こっちは……机をはさんで向かい側に私の許嫁であるせつがいるのだけど、会話が無さすぎる……
お互いにただただご飯をを食べている。
どうでもいいかもしれないけど、ここのご飯すっごい美味しい!
ていうか、聞きたいことはたくさんあるのに何も言わないでくれとせつに頼まれたのよね。
さかのぼること、1時間前……
顔をあげた瞬間に、私は自分がこんな大きな声をだせるんだって思うほどの悲鳴をあげた。
「えぇぇぇぇぇぇぇーーーっ」
あとから思うと、我ながらすっごく恥ずかしいことをしたわね……
周りが目を点にして、私を見ているのも気にせずに続ける。
「どういうことよ!!こんなのおかしいわ!!だって、あの人、あいつは……」
物の怪よ!……と言いたかったのだけれどそれは、頭の中に響いた声によって叔父さん達に伝わることはなかったのである。
ちなみにせつは、私が車の中で勝手に想像としていた通りの、色の白い好青年だった。
うーん、私のタイプにドンピシャなのが憎らしいわね。
ー
その一言で、私は自分でも驚くくらいにスっと落ち着いた。
ー何も言わないでくれ。君と2人で話せるようになるまで。ー
ー分かったわ。ー
とりあえず、頭の中で返事をした。
ーでも、後でちゃんとどういう目的なのか説明してちょうだい。説明しだいでは
、私はあなたを退魔させるわよ。ー
ーあぁ、心配する必要はないよ。ー
私はキッとせつを睨みながら、フリーズしたままの叔父さん達に声をかける。
「お騒がせして申し訳ありませんでした。
先程のことは、私の勘違いだったようです。失礼しました。」
「あぁ、そうか……」
ちょっと怪しまれてる気がするけど、さっきの私の悲鳴のせいで誰もが呆気に取られて
、特に文句は言わなかったから、逆にラッキーだったわね。
そこからは、本当に普通に進んでいった。
まぁ、さっきのがイレギュラーだったんだけどね。
で、今に戻る……
気まずい状況は未だに続いている。
でもまぁ、料理は美味しいからそれなりには、楽しんでいるけどね。
向かいのせつは、黙々と料理を食べていた。
せつの正体は、何となくだけれど分かっている。
どれだけ何かに化けようとも私の目は、ごまかせない。ごまかせないはずなんだけれど……
でも、いつもよりハッキリとは分からなくて、何となくしか分かっていないのは、自分の心の中に閉まっておく……
たぶん、神に近いなにかだろうと予想をする。
私の右目は、自分より上か同等のレベルの物の怪の姿は少し見にくくなる時があるから。
でも、見えなくなることは断じてない!絶対に!たぶん……
それほどまでに、格の高い物の怪や神にはあったことは無い。
そうやって、ぼーっと考えているとせつは食べ終わってどこかへ行ってしまった。
裕太郎さんは、引きとめたんだけど、なんか、しないといけないことがあるとかなんとか……
すると隣で、叔父さん達がこんな案を出す。
「午後からは、子供たち2人きりにして親睦でも深めてもらいましょうか?」
「おぉー、それはいいですね。ご飯を食べているところを見るとお互いまだ、緊張しているようですしな。」
良くないわよ!!
「では、我々は早めに退散しましょうか。」
「ちょっ、ちょっと待って!私まだあの人のことよく知らないし、二人きりとか無理よ!」
せつと話したいことはあったけれど、物の怪と二人きりだなんて、さすがの私でも少し怖い。
なのに、なのに、あの二人は!!
「いいじゃないか、知らないことが多いから、今から話して知ってこればいい。」
「いやー、せつも咲良さんのようなキレイな人が許嫁で喜んでると思いますよ。」
叔父さんは、なんか、少女漫画に出てきそうなことを言ってるし、裕太郎さんは……まぁ、良しとするわね。
そんなこんなで、裕太郎さんが出した案によって私は午後から、せつと話し合うことになった。
ううっ、
何故か朔に八つ当たりしながら、せつのおつきの人の
ちなみに、蒼さんは、男性。
「失礼しまーす。」
「あぁ、よく来たね。入っておいで。」
なんで、こんなに上から目線なのよ。
「はーい。」
せつは部屋で寝転んで漫画を読んでいた。
やることあるんじゃなかったの……
「漫画なんか、読んでないでさっさと説明してちょうだい。叔父さん達の言ったようなキャッキャウフフな話をしよう思っているわけじゃないわよ。」
「咲良は、怖いなー。いいじゃないか、キャッキャウフフな話も。」
「馬鹿なこと言わないで。あんたの嫁なんか、願い下げよ!」
「分かってるよ。でも、許嫁の件はどうしようもないと思うけどね。とりあえず、僕の隣おいで。」
「嫌よ!なんで、あんたの隣に座らないといけないのよ!こっちにへ座らしてもらうわ。」
と、せつの隣を拒否して向かい側に座る。
「つれないなぁ。」
せつの声色は寂しそうだけれど、顔が笑っているので問題無し。
うっ、なんか、余裕のある感じがムカつく。
「喜んで物の怪の隣に座れるほど、私の頭はおめでたくないわ。」
そして、せつを真正面から見つめる。
うーん、どの角度から見てもかっこいいわね……
でも、私の金色の右目でとらえているせつは、ボヤけているけど何となく狐の姿をしていた……
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