自殺者が後を絶たない海岸

自殺者が後を絶たない海岸

昼間、大勢の観光客で賑わうその海岸は、夜になるとひっそりと静まり返る。

波の音と虫の声。そんな中に響く足音は耳につく。あなたは、そのおぼつかない足音に引き寄せられる。

「どうされました」

足音がやむ。応えはない。胸騒ぎ。

「危ないですよ」

不明瞭な返事。数歩進むと、手の届きそうなところに人影が見える。

「大丈夫ですか」

すると、人影がうずくまり、嗚咽を漏らす。

あなたは、急いで駆け寄り、何か、その人影の助けになりそうな言葉を口にしようとする。

しかし、その言葉が声になることはない。なぜならあなたは、勢いよく起き上がった人影により、海に落とされるからだ。

人影は、岩礁に叩きつけられたあなたを見て笑う。

「20ポイント。これで最下位はないね」

関東のある観光地では、このような遊びが流行している。そこは自殺者が後を絶たない海岸と呼ばれている。