天涯のアルヴァリス~白鋼の機械騎士~

すとらいふ

イラスト紹介

 ツイッターで度々紹介させて貰っていたんですが、なんと「天涯のアルヴァリス」に登場する理力甲冑 ステッドランドのイラストをKuriKuriさん(@Hicky_Kuri)に描いていただきました!


 カクヨムでは挿絵機能が無いので、下記にツイッターのアドレスを記載します。


https://twitter.com/strife51675488/status/1068666494144282624?s=03


 ものすごくカッコいいですよね……この歴戦の機体感。あちこちにある傷、修理跡っぽい革ベルトで縛られた装甲……ウットリ。全体的にシンプルなシルエットなのにそれを感じさせない構成、中世の鎧を意識した装甲の形状と情報密度、力強そうな四肢、身の丈ほどある大剣と渋い要素満点です。某オー〇バトラー的な機体を意識したとの事で、渕っとした穴も重要ポイントです。


 KuriKuriさん、ありがとうございます!





※以下は本編をお読み頂くまでは飛ばしてもらっても構いません。


オーバルディア帝国軍制式量産型理力甲冑 ステッドランド


 帝国における量産型理力甲冑。その性能は装甲、出力、敏捷性、扱いやすさ、コストとどれをとっても同時代の機体の中では平均的。しかし部隊の最小単位である小隊から大部隊である一個軍を形成するには、その平均的性能が重要となってくる。


 まず第一に突出した性能がなく新兵でも短い訓練期間で扱えるようになる為、また量産コストもそれなりであったので全軍に配備されるまで多くの時間は掛からなかった。つまり、帝国に配備されている理力甲冑が短期間のうちに最新のステッドランドに代替わりした事を意味する。それにより他国がステッドランドの情報を入手し対策を講じている間もなく帝国が配備を完了させてしまい、それまでの対理力甲冑戦の常識や戦訓を一世代遅れたものにしてしまった。


 第二に整備性を重視した比較的簡素な構造をしている事があげられる。それまでの理力甲冑は何かしらに特化させる、もしくは高性能を追求しようとするきらいがあった。その為、製造コストが増大しがちで、かつ複雑な機構を備えた機体が多かった。さらには操縦士を選ぶとまで言われる劣悪な操縦性と、定期点検を行うだけで数日はかかってしまう最悪な整備性は普段からの慢性的な操縦士および整備士の不足を招いてしまう。


 その点、ステッドランドは平均的であることを目指して開発されており、複雑な構造を出来るだけ排し、整備性においては特に主眼を置いてある。その為、帝国はこのステッドランドの開発当初から理力甲冑の部品や装甲といった全てのパーツに共通規格を制定し、それを帝国全土の工房に規定付けることにした。そのお陰でどこの工房製のステッドランドであろうと同じ機体性能、規格統一された各種部品、故障事例の蓄積による効率的な整備方法が取れるようになり、現場のマニュアル化が進んだのであった。これは平時、戦時を問わずに高い稼働率を維持し、たとえ物資が不足しがちな最前線であろうとも破壊された機体から部品を取り外して修理する所謂な修繕方法が各地で行われたことからも、その高い整備性が分かる。




 かつての理力甲冑は主に強大な魔物を討伐するため、もしくは貴族の決闘競技に用いられるものだった。その為、過去の機体に関する設計思想が「強力な個」を求めるのは自然な流れであった。当時は一機を製造するにも莫大な資金と物資、人員を要するので殆どの機体が一品ものだった事も関係する。


 当時の資料を紐解くと、それぞれ有力な貴族は家ごとに理力甲冑を一機所有し、専任の整備士を雇っていたと記されている。上述の通り、製造と運用にはそれなりの財力が必要であり、また、戦時においてはどちらかというと司令塔の役割が殆どだったので絶対数は多くなかった。それに加え、理力甲冑の開発者と整備士はその機体の秘密を知っているがゆえに他家の理力甲冑技術者との交流を制限されることが多かった。これらの要因から長らく理力甲冑の技術的発展が遅れるのは仕方のない事だったのが窺える。


 それが次第に多数の理力甲冑同士の戦闘、つまり戦争の兵器として利用されだし量産性にも目が向けられるようになるが、真の意味での量産機というものはこのステッドランドの登場を待たなくてはならなかった。今後、理力甲冑の開発に当たってステッドランドをベース、もしくはその設計思想を色濃く受け継ぐのは想像に難くない。天安門

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