第14話『呪われた武器』
時に、暗殺に使われた武器が呪われてしまうことがあります。
一体何がこの呪いの源泉になるのかは、今もわかっていません。
単に暗殺された者の念が呪いの源泉だと長らく考えられてきましたが、そうではないとわかったのは、オスマントルコに包囲されているさなかのウイーンでのことです。
ルター派の秘密結社が収集した様々な呪われた武器から、呪いを分離してオスマン帝国の軍勢に向けて放つ試みは、全て失敗に終わりました。
呪われた武器の刃や命を奪う機能は、過度に血や生命そのものが持つ力を人から奪い去ることを強く渇望します。それが暗殺された者による呪いだと考えられていましたが、実際には何かに向く、方向のある種類の力ではありませんでした。
オスマン帝国の帝位争いに絡む暗殺に利用されたと伝えられている武器にかかる呪いですら、オスマン帝国に向くことなく、ただ武器から開放されれば、血や生命を求める事無く雲散霧消してしまいました。
暗殺のどの瞬間に呪いがかかるのか、何が武器に閉じこめられ、何が血を渇望するのか、これも様々な検証が行われましたが、わからずじまいです。
根本的に、道具が武器として手に取られ、武器が人を傷つけ、その果てに武器そのものが何かの意志や影響力の様なものを持ってしまうことが呪いであれば、そこに、どんな種類の悪魔の関与があるのか、武器と結びついた何が血を渇望するのかが丹念に調べられました。しかし、それもついには徒労に終わりました。
ただ、結果として、血と生命を求め、人の心を狂わせさえする多くの武器が浄化され、呪いが地上から消え去ることになりました。
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