第30話 ナオの日記 六月二十八日

 イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ!


 もう明日だよ。キモ試し。まだずっと先だと思っていたけど、イヤなコトほど早くやって来ると思わない?

 何かね……キモ試しが怖いって言うのもあるんだけど、もっと怖いコトが……



 あの三匹、参加する気まんまんなんですけど!!



 アタシがオバケとか七フシギとかキモ試しとかキライなのを知ってて、『心配だからついて行く』って……ホント、小さな親切大きなお世話!

 絶対にゼ~ッタイに、キモ試し始まったらあの三匹どこか行っちゃうに決まってる。こんな時だけ、アタシにナイショで三匹で話してるし。ホントは仲良しだよ、あの三匹。何たくらんでるんだろう?


 三匹の雨の日の大だっしゅつから、何か真紀先生がいつもアタシを見ている気がするのよね。学校に来るのはいいけど、真紀先生にだけはバレないように気をつけて。お願い。

 あの日だって、アルたちが学校から帰った後、大変だったんだから。



「松平さん、何で学校にペットなんか連れてきたの?」



 頭から湯気を出してる真紀先生のカミナリがドゴーンって落ちた。イスに座って、ただ小さくなるしかないアタシは何も言えなかった。怖くて顔も上げれなかった。



「先生、知ってます? ペンギンっていくらするか? 安くて百万円。高くて一千万円ですよ? ペンギンがペットって、そんなにお金持ちに見えます? 松平さんが」



 茂クンが助けてくれなかったらどうなってたんだろ?

 ……助けてくれたんだよね? ビンボーって言われたみたいで、何かちょっとフに落ちないけど。


 茂クン、アタシが転校してくる前に、体育の授業でオサナナジミの泉チャンにケガをさせちゃったんだって。もちろんワザとじゃなかったんだけど、その時、クラスのみんなにいっぱいキツク言われたらしいの。

 泉チャンは笑って『大丈夫』って言ってくれたみたいなんだけど、ふつうに話しかけてくれる泉チャンの目も、クラスのみんなの目も、見るのが怖くなっちゃったんだって。アルの話だと、その時に『弱蟲』につかれたんじゃないかって。


 蟲って漢字、ムズカシイ……


 あの日は、ホントの茂クンに初めて会えた。

 ホントの茂クンは、頭もよくてスゴく元気いっぱいな男の子だった。その茂クンが、アタシに『アリガトウ』って。


 何かウレシイ!

 アタシ一人の力じゃないけど。


 アルやトーエイ、鈴木くんのコト、茂クンに話したら、ビックリしてた。当たり前よね。けど、茂クンは信じてくれた。



「自分にあんなコトがあって、しかも助けてもらったのに、信じないワケないよ」って。

 世界セイフクのコトは一言も話せなかったけど。だってハズカシイじゃない。


 さぁて、明日のコトは忘れて(忘れても明日は来るんだけど)、また、しおりを探さなきゃ。茂クンも手伝うって言ってくれたし。

 まだ、さくらチャンにしおりのコト聞けてないけど。

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