第3話 須磨子のたくらみ1
昨日は、思いがけず若い女性の訪問を受けた。
マンションの管理について不満があるみたいで、私を信用して来てくれたんや。
そうや、あの麗子を使ってあの男に一泡吹かせてやろう。
ふふふ・・・面白い事になって来た。
バラが咲いた バラが咲いた♪ こんな感じかなぁ・・・・うふふ。
このマンションに引っ越して来て、もう20年になる。
越して来た時はもうすでに60過ぎてた。
その年齢で賃貸というわけにもいかず、買うとしても現金で買うしかないので、ちょっと狭いけど、夫婦2人ならまぁいいかと思った。
でも、主人は10年程前に亡くなってしまった。
これからどうしたらええの・・・一人で・・・
2人の息子はそれぞれの生活があるし、昔は「おばあちゃん、おばぁちゃん」と言ってくれた孫ももう社会人。
主人が亡くなった時、車で駆け付けた長男がマンション前にちょっと車を駐車しただけで、「近くのパーキングに移動するように」って、理事長かなんか知らんけど、偉そうに言いやがって!
だいたいあの男は車も持ってへんような男やのに、車の何が分かるって言うのん?
服も3つ位しか持ってへん。あんなんやからいつまで経っても独身なんや。
人間いうのは最期の時いうのは、家の前に車横付けして見送ってもらうんが普通なんや。
あそこに車停められへんかったら私かて皆に見送ってもらわれへんやないの!
そやのに、いつの間にかプランター置いて、通行さえ不便になってるやないの!
まずあのプランターを撤去させなあかんわ。
その為に、新しく入居してきた若い男を「ここは新しく入って来た者が役員をやる事になってる」言うて、理事長にさせた。
あの男、信じて「はい、僕やります」って立候補してくれたわ。
事前に「私が補佐するから何の心配もせんでええよ」って言ってあったし。
それで私が副理事長になったんやけど、私よりあの麗子の方がええわ。
あの女を副理事長にしたら、理事長も副理事長も私の思い通りになるやんか!
ああ、今まで生きててよかった!
毎月高い管理費も気に食わんし、それも出費を抑えるために何とか頑張らなあかんわ!
83歳になってこんな楽しみが待ってるなんてなぁ・・・
主人が亡くなってから、ボランティアや老人の集いやら積極的に活動しても、何か行きづらくなる。
でも、仕方ないわ。
私は焼きもち焼かれるからなぁ・・・女の嫉妬って怖いで。
でもこれから忙しくなる。
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