狂気の老人
@blue-rose
第1話 川上 須磨子
「私のなぁ最近のお気に入りの子は26歳のシェフやってる子でなぁ、この前もなぁデートしたんやで、あんた!」
「そうなんですか・・・」
「あんたはまだ若いんやからなぁ、諦めたらアカンで!私の友達でなぁ、私よりまだ年上の人でもなぁ、最近彼が出来たみたいでなぁ、もうあんた!ルンルン♪なんやで!」
「はぁ・・・そうですか」
「そやで!ほんでもなぁ・・・・私は結構同性からは焼きもち焼かれるみたいでなぁ・・・・」
一体この話はいつまで続くのか・・・
しかも「諦めたらアカン」って、私が何故諦めた事になっているのか・・・
「いや・・まぁ私はもうそういうのはもういいんで・・・」
それにしても、この臭いは一体何なんだ?
用があったので須磨子の部屋を訪ねたのだが、玄関先でも何ともいえない臭いがする。
この家の臭いなのだろう。
戸が開けっ放しになっていたので、中の部屋が少し見えたのだがやたらとゴチャゴチャしている。
しかも下駄箱の上に絵皿や置物がびっしり並べられていて、全てを見なくてもこの部屋の全てが手に取るように分かる。
それに口臭が酷く、耐えがたい。
歯並びが悪く、歯の色も白くはない。自分の歯なのだ。
しかし、金具が見えるので、部分入れ歯にしているのだろう。
もしかしたら長年部分入れ歯の手入れをしていないのだろうか。
いや、内臓が弱ってるのかもしれない・・・・・
しかしその後も須磨子の話は延々と続いた。
話てみたら、気さくでなかなか物分かりのいいお婆さんという感じで、意識の高い人という印象だった。
以前は、飲食店を経営されていたらしく、5軒オープンさせて全て大当たりという事だった。
しかし、その地域の再開発に引っかかってしまい、結局閉店を決心したのだそう。
「まぁ立退料、もろたからええんやけどな。うちはなぁ、昔なぁ不動産でも大儲けしてなぁ・・・」
また延々と話が続きそうだったので、うまく逃げて来たのだが、この時は須磨子と関わった事を後悔する日がやって来るとは全く思っていなかった。
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