スポットライト
カゲトモ
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「ふふふ、トガシ君は大学でも変わらないんですね」
黒いつむじに話しかけると、少ししてから小さく、コクン、と頷いて見せた。先ほどまで隣で賑やかにしていた姿はなく、今はひとり猫の背の彼女が静かに飲んでいる。彼女を連れて来たトガシ君は一人勝手に「呼ばれたから行ってくるわね」と彼女を置いて行った。本当は一緒にと誘ったのだがそれを彼女が断ったのだ。
「あの人はいつもあんな感じです」
ひょうきんで賑やかで。煩いと言うよりはユーモアがあるって感じの男の子。面白いし見ているこっちも楽しくなるから嫌いじゃない。
でもどうして彼女とトガシ君が仲良くなったのだろう? 確かトガシ君は被服系のサークルで、彼女はどこにも所属していないと言っていたし。どんな関係なんだろう、ちょっと不思議。
確かに彼女は猫背で顔の半分くらいまで前髪で隠れている綺麗系美人さんだけど、ただのナンパで仲良くなったとは思えない。失礼だけど彼女自身、そうやって声を掛けられてホイホイついてくる感じがしないから。
「ナンパです」
「ナンパなんですか!?」
ごめん驚き過ぎた。だから前髪の隙間からこっちを見ないでったら。
「と言っても彼が声を掛けて来ただけなので、ナンパと言うよりはキャッチ・・・」
「キャッチ・・・」
その姿を頭の中で思い描く。誰とでも友達になれそうな彼のことだ、何となく分かる気もする。
「迷惑な話です」
ん?
そう言った彼女の顔に違和感。思い違いでなければそんなに困ったような顔じゃないけれど?
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