目指せ、ナンバーワンッ!
カゲトモ
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「当たり前でしょう? どうせ頑張るなら一番を目指さなくちゃ」
「そうだけど」
「何弱気になっているのよ、アンタ顔だけはいいんだからシャキッとしなさいっ」
そう言われた彼女は見えないよう小さく唇を尖らせた。褒められていると言うのにどうして困ったような顔をしているんだ。
「ね、マスター。この子、どう見たって美人よね」
今度はそう言って急に彼女の顎を掴んで力強くこちらに顔を向けさせる。長い前髪を分けて現れたのは確かに綺麗系の美人さんだ。切れ長な瞳と通った鼻筋、薄めの唇と細い顎。メイクはほとんどしていないんだろう、肌はツヤツヤで毛穴レスだ。若いから、と言うよりは化粧気がないから天然ものの美しさが現れている感じ。申し訳ないけど、その辺にいる可愛い子よりとても貴重な感じがする。そのリアクションも含めて。
「やめれくだしゃい、しぇんぴゃい」
みるみる間に真っ赤になった顔をトガシ君はため息交じりに離した。
「もったいないわぁ。残念」
「それは、先輩も」
俯いた彼女からそんな細い言葉が返ってくる。
「あっマスターまで笑ってるっ! 失礼ね!」
「ごめんなさい、トガシ君」
「謝られたら余計いたたまれないわよっ! いいの私はこれで自分に満足しているからっ」
ふん、と鼻息を荒くしてトガシ君はロンググラスを満たすオーガスタセブンを喉を鳴らして飲んだ。
「っけほっこほ」
そして咽た。
彼は黙っていればとても顔の整ったイケメンなのに喋るとオネェと言う、大学生ながらにしてミケの店の常連でもあるちょっと特殊な子だ。
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