オプ 休眠中
Aurea Mediocritas
第1話 result
2049年8月26日 午前7時45分52秒に私は起きた。
ここは私の探偵事務所兼自宅だ。
眼内デバイスが、私と繋がったスマートフォンのGPSにより現在位置の名称(S探偵事務所)が視界に表示され、数秒で消えた。
そして、時刻表示が私の視界前方斜め上方に小さく表示し、時間をカウントし続けている。
視界の邪魔になり、視野スクリーンから表示をバックグラウンドにした。視野内にデバイスの表示する文字が無くなり、生身の視野になった。
昨日は、深夜の浮気調査で、よほど疲れていた為か、スマホとの接続も切らず、時刻も出したままで寝たらしかった…お陰で、昨晩は政治家先生の奥様が、カラフルなホテルに入る瞬間からイケメン男子にしな垂れ掛かって出てくるまでを記録できたのだが……
今日の9時には政治家先生が、奥様の浮気について、私の報告を聴きに来る予定だった。
私には、自己の記録を外へ出す物理的な外部端子が存在しない、その為、脳内のデータをPCに移すには、通信によるデータ移動しか無かった。私は浮気記録を脳内から事務所内無線LANを利用して私のPCへ移した。
早速、浮気記録を元に報告書を作成した。
時間が空いた。まだ、政治家先生が来るまでに1時間程度ある。
……昨日はロクに飯を食っていなかった。
朝メシを食おうと思った。
奥の部屋の棚から、カップラーメンを一つ取り出した。スープと具材の素を入れて昨夜から入れっぱなしのポットお湯を注ぎ、3分待つ、その間に、昨夜、スマホに繋がったまま寝てしまったので、脳内をウイルスチェックしておいた。
私はかなり強固なファイアーウォールを配しているので、感染の可能性は少なかったが、念の為だ。
1分程度で、スキャンが終わりウイルスは見つけられなかった。
一安心だ。
やはり、就寝時はスマホも含め、全てのネットワークからスタンドアローンでいるべきだ。
それにより、危険な事柄を許す事もあるだろう……例えば、就寝時にもネットワークに繋がり防犯カメラや事故情報が取得できるなら危機回避にも役に立つという事……だか、私自身はそれよりも、自分の中に入られる危機を重視している。これは自分だけの価値観だ。
ただ、ここまで気にするのは、私自身の身体の得意な特徴に依るところが多い……世の中には24時間ネットワークに繋がり続ける人もいる。私はそんな人を観て思う。この人の人格は本当に自分の意識100%なのだろうか?外部より操作されている可能性を疑わないのか??
視野内の周囲が赤く点滅し3分経った事を知らせてくれた。このアラームのお知らせが嫌いだ。
もっと柔らかい表示に出来ないのか?赤の点滅なんて、警告表示みたいだ。
そうだ……この仕事で入った金でエフェクトを変更しようと思う。
ラーメンの蓋を剥がし、コンビニで買い物をした際に余った割り箸でラーメンを食べる。
体に悪いと思いつつもスープまで飲み干して、余ったポットのお湯でインスタント珈琲を淹れた。
白雪姫でもキス無しに飛び起きそうな苦いヤツだ。
そいつをゆっくりと飲み干す。
もう、8時45分になった。そろそろ政治家先生のおでましだ。私は、接客用のソファに座り、依頼人を待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます