第4話

「おはようございます、生田主任!」

車で上京と出勤したら駐車場にきのこが立っていた。

おかしい。きのこはこんなアスファルトには生えないはずだが。

「おはよう、……瀬戸だっけ」

きのこと言いかけた。上京のせいだ。

「あの、どうして2人一緒に出勤されたんです?」

うわ、距離感。

上京が言う通りかも。

「おはよう、きのこ。いいだろ別に。その前に馴れ馴れしいぞ!」

吠えるな。

そして苗字くらい呼んでやれ。

「一緒に住んでるとか、無いですよね? 営業部の綺麗どころが揃って同居とか」

半端ないな。

「おまえ。俺が教育係を担当しようか?」

「やめろ、上京。おまえだと殴るだろ」

もう殴りそうだけど。

それに昨日の顔合わせで既に2人揃って手を出した。

きのこが悪いから反省はしていない。

「住んでるよ。だからどうした」

おまえなあ。

上京、食って掛かるな、気に入らないのは分かるけど。

「あはは、無いですよね、有り得ない」

こいつ?

「だって聞きましたよ? お2人が、この会社の看板だって。おいちゃん・かんちゃんですよね」

もう無理かも。

オレが無理なら上京は更に受け付けないぞ。

「よくだらだらとしゃべるきのこだな?」

やめろ。

「行くぞ、生田。きのこは自生だ。置いておけ!」と腕を取られた。

「ああ、じゃあ先に」

すると「僕も行きますよ」とついて来る。まあ、そうだろうけど。

「生田主任! 身長いくつありますか?」

背中越しにきのこが話しかけてくる。おかしい。きのこが言葉を話してる。

「やかましい! 距離感を保て! 新人きのこ!」

「やめろ、上京! 相手にするな、おまえは!」

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