第18話 宇宙の始まりのその前はどうなっていたの?

〈登場人物〉

サヤカ……小学5年生の女の子。

ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。



サヤカ「ねえ、ウサ。宇宙は、138億年前にビッグバンによって始まったって習ったけど、じゃあ、ビッグバンのその前はどうなっていたの?」


ウサ「うん、どうしてもそう聞きたくなるよね。ビッグバンの前にも何かがあったっていう人もいるけど、これだって同じことで、じゃあ、さらにその前はどうなっていたのって聞きたくなるよね。サヤカちゃんは、どう思う?」


サヤカ「うーん……何にも無い状態の所に、時間だけが流れていたのかなあ……」


ウサ「でも、その時間っていうのも、そのビッグバンによって、始まったわけでしょう? その前に時間っていうものは無かったんだよね?」


サヤカ「えっ……あっ、そうか……でも、ウサ、時間が始まるってどういうことだろう? だって、時間が始まるその時にもさらに過去があるわけだから、時間が始まるって何かおかしくない?」


ウサ「うん、わたしたちにはね、時間が始まるっていうことの意味はね、分からないの。どうしてかって言うと、始まるっていう言い方自体が、時間の中のことで、時間自体が始まるっていうのは時間の外のできごとだからね。時間っていう考え方で、時間の外のことを考えることはできないのよ」


サヤカ「でもさ、そしたら、このビッグバンっていう考え方自体が間違っていることになるのかな。それとも、わたしたちに理解ができないことが起こったって考えた方がいいのかなあ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る