第108話

「口……に……?」


「ダメかな?」



口にキスって……

あのキス?

鱚じゃなくてキスだよね……



「ねぇ……

 早く……」



みさき先輩は、そう言って僕に迫る。

よし!

彼方!ここは、男を見せるんだ!



僕は、そっと先輩の唇に口づけをした。



「……ん」



先輩の柔らかい吐息と共に甘い感触が僕の舌を刺激する。

え?

舌?


先輩の慣れたキスにより僕は、少し戸惑う。

でも、なんか気持ちいい。

僕は、暫く先輩のキスに身を委ねた。


情けないけど、僕はキスをした事がない。

だから、どうしたらいいのかわからない。

僕は、ここ暫く現れていない呪縛が、現れない事をただ祈るばかりだった。

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