第49話

授業は、あっと言う間に終わり放課後がやってきた。

僕は、帰り支度をしていると池宮君が声をかけてきた。



「日向、一緒に帰ろうか?」



え?

こんな事言われたの、生まれて初めてだ。

一緒に帰ろうだなんて……



「また、絡まれるとヤバいしさ」


「大丈夫だよ」



僕は、そう言った。

せっかく誘って貰えたのに、僕は何を言っているのだろう。

こんなチャンス滅多にないのに……

池宮君は、ニッコリと笑った。



「まぁ、気にするな!」



そう言って、僕の背中を押した。



「どちみち家の方向も同じだしな!」



言われてみればそうだけど……

池宮君とは、幼稚園の頃からの知り合いなのだ。

そして、家も近所。

仲が良ければ、幼馴染って言えたのかな……

僕は、きちんとした人の形で生まれたかったな。

そしたら、きっと池宮君とは良い友達になれたと思う。

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