第48話

「美人で、優しくて、目が見えないのに明るくて、胸も大きい」



まるで、僕とは正反対の人だな。



「そしてあの人は、強い!」



池宮君は、目をキラキラと輝かせて言った。



「強い?」


「ああ。

 あの人は、盲目でありながらケンカが強いんだ」



へぇ……

凄いな……



「あと、成績優秀。

 学年で、一番の成績を誇る!

 学年のアイドル的存在だぜ?」


「ふーん」


「お前ってヤツは、その先輩の手を長い間握り締めやがって……!

 ずるいぞお前!」



池宮君は、そう言って僕の肩に手をまわしてケラケラと笑った。


こんな時、僕は、なんて言ったらいいのだろう?

こんな時、僕は、どんな反応をしたらいいのだろう?


答えは、わからない。

だけど、池宮君が機嫌が、良いみたいだからいっか。


僕の胸の中が少し暖かくなった。

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