第8話

僕が気付いた時

僕は、白い天井の下にいた。



「気がついた?」



看護婦さんが、僕に話しかけてきた。



「うん

 僕、死ななかったの?」


「死にたかったの?」



看護婦さんが、ニッコリと微笑んだ。



もしも僕が死のうとしている事がばれたら止められる。

だから、僕が自分で死のうとした事は、黙っておこう。



「そうじゃないけど……」


「なら、神様にお礼を言うのよ?

 彼方君、もしかしたら、死んでいたかも知れないのだから……」



僕は、神様にお礼を言わなきゃいけないの?

どうして?

僕は、死にたかったんだ。

そうだ、お母さんはどうしたのだろう?

お母さんに怒られるかな……



「あのお母さんは?」



看護婦さんは苦笑いを浮かべた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る