Disputatione

Kokurai

第一話 開始

―いつもの聞きなれた予鈴。

生徒たちの元気な挨拶は、学園中に響いていた。


「おはよう!」

「おはようございます。」

「おはよー」

挨拶をすれば、挨拶が返ってくる。

自分の席につくと、隣の男子が話しかけてきた。

「やあ、音哉。」

「おう涼介。おはよう」

俺は笛口 音哉ふえぐち おとや。こっちは桜庭 涼介さくらば りょうすけ。どっちも16歳だ。


「……。」‪ホワー

「…どうしたんだよ音哉。なんというか…ほわ〜ってなってる」

「あ、いや…このクラスにいると、心が落ち着くし、ずっとみんなといていたいな…って」

クラスが一瞬静かになった。が、すぐに笑い声に変わった。

「へえ〜、音哉君ってこのクラスが大好きなんだね!」

「ま、皆思ってるだろうけどな!」

二人は元気よく笑っている。宇都宮 優うつのみや ゆう南沢 旭なんざわ あさひ

俺の近くで静かに笑っている小倉 師音こくら しおん

古閑 抄雪こが さゆき

森 薫もり かおる


みんな笑っている。

「さーて、皆、おはよう…」ガラガラ

「「「 (・_・)スッ 」」」

「…オイオイなんだその(・_・)スッみたいな顔はぁ!!」

クラス中の笑いがさらに大きくなった。これもう止まらないだろ…

担任の古宮 竜太ふるみや りゅうた

担任だけど、いじられキャラだ…。よくいじられてるが、一番生徒たちを愛している。…多分。


(ああ…いつまでもここにいたいな…)


……

………


「はっ!!!」ガバッ


いつの間にか寝てしまっていたっぽいが…やばい、誰もいない。

「…今日、朝会あったっけな…?」


『さて、ミナサン眠りから覚めたようですねェ』

!?

教室内のスピーカーから声がする。ボイスチェンジャーでも使っているのだろうか、とてもガサガサした声だ。


『こんにちは〜。ワタクシは…そうですねェ、agehaアゲハとでも名乗っておきましょう。』

ageha?アゲハ蝶のことだろうか。

とりあえず話は聞いておいた方が良さそうだが…


『さァて、アナタ達には今から…をしてもらいます。殴るも良し、斬るも良し、撃つも良しの…いわゆるデスゲームです。』



…殺し合い?



なにがなんだかわからない。


『モチロン褒美も考えていますよォ。ま、生還者が出ればですけど…ネ』


「…皆はどこに行ったんだろう」ボソッ

『ミンナァ?さァ、どこかに転がっているんじゃないですかァ?』

!……聞こえているのか。迂闊に悪口は吐けないな…


『何ィ?嘘をつくな?ン〜…じゃあ手始めに、ワタクシが誰かを殺してあげまショウか。』

「!!」ゾッ

誰かが発してしまったんだろう。

謎の人物から発せられたその言葉に、俺は一つ感じた。


〔俺は嫌だ〕


…一瞬だけ、「俺じゃない誰かが殺されろ」と思ってしまった。

なんてことを考えているん―

パァン!!……イヤァァァ!!!


…鋭い破裂音と共に、甲高い悲鳴が聞こえた。

恐らく外からだ。


身体の震えが止まらない…。



『わかってもらえましたか?ワタクシのを。…それでは………殺り合え』プチッ

ザーーーーーー……




―いつもの聞きなれた予鈴。


俺達の日常は終わった。

そのかわりに、


殺し合いの日常デスゲームが始まった。

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