第3話

コンビニで10時に待ち合わせ。

肝試しなら深夜のはずだが

まだ親の保護下にある僕たちにはこれがギリギリのライン。

約束があると言うと、また面倒だから

コンビニに買い物に行くフリをする。


シャワーを2回浴びて、歯磨きは3回した。

べ、別に何も期待してないよ

そんなことあるわけないし

だ、だから汗とか気になるから

夕食後、自分に言い訳しながら落ち着かない時間を過ごす。




「おまたせ!」


カンナは風呂上がりのようだった。

髪が濡れていて、束になっていた。

それをゆるく結んでいるのが涼しげで

白い肌はしっとりと輝いていた。

唇と頬がほんのり色づいて

真っ黒な瞳を引き立てている。



ああ、僕たちは大人になってゆくんだな



幼なじみのカンナの中に女性を感じて

自分の中の男性に気づく。




なんて、詩的な気持ちになるくらい

カンナは眩しかった。



「どうしたの?」


のぼせた僕の顔を覗きこむ。


「い、いや、なんでも。行こう」


僕たちは例の空き家に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る