本当に怖いもの

山川ぼっか

第一話

「ここ、ちょーやばくない?」

「それなそれな! この幽霊屋敷ちょーやばいよね!」

「怖いし、本当に何か出そうだからこれ以上行くのやめようよ」

「は? ミチコビビりすぎでしょ。奥でタカシが脅かしてくるだけだよ?」

「だけど絶対になんかいるってー」

「もうほっといて先行こ?」

「ほんとそれ。いこいこ」


 うちはフウカ。タカシから夏っぽいことをしてやるからと言われてオンボロ屋敷に来るように言われたの。言われたときは彼と隠れたところで何かあるのかな?って期待して行ってみたらズッ友のヤスコとあんまり関わりのないミチコがいた。チョーショックだったけど三人で懲らしめてやるために奥まで行くことにしたの。


「にしても何にもないわね。雰囲気だけじゃん」

「マジそれな~。でもフウカとミチコと三股してたとか悔しすぎ! 奥まで行ってとっちめてやろ!」

「タカシ許せないよね! どうしてやるのがいいのかね」

「ミチコなんか意見ないの?」

「…」

「ミチコなんか言いなさいよ!」

「…」

「フ、フウカ?」

「ヤスコどうしたの?」

「ミチコいないよ」

「さっき本当に置いて行ったのかな」

「ミチコなんていいよ。さっさととっちめちゃいましょ?」

「ミチコがいたってそんなに変わらないわよね」

「そうだよ~」


                 ~数分後~


「ってか奥の部屋ってどこよ!どの部屋も奥に見えるよ!」

「それはフウカが馬鹿なだけでしょ」

「はぁ? あんたよりは馬鹿じゃないわよ!」

「何言ってるのよ! タカシはあんたが馬鹿すぎるから嫌いって言ってたのよ!」「ってかうちとタカシ付き合ってるって知ってるのにタカシ奪おうとしてたの?」

「当り前じゃない。毎回あんたの男とってたのよ?気づかないとか本当にあんた馬鹿ね」

「だって毎回、彼氏と雰囲気悪くなったらヤスコが「別れちゃいなよ」っていうから別れてたのに」

「ズっ友? あんたは私にとって男を取るための道具でしかなかったのよ? 本当にあなたが馬鹿だから毎回、楽にゲットできてたのに~」

「ぅちは裏切られてたってこと?」

「そうよ?」

「ヤスコのバカっ!!!」


 ぅちは裏切られてたんだ。もうヤダ。タカシに会いたい。今、走ってるんだからこの勢いでタカシのいる奥の部屋まで走っちゃえ。ヤスコの言ってたことは嘘だ。だってズっ友だもん! そんなことやってるはずはない!


“きゃぁぁぁぁぁぁ!!”


え、ヤスコの声? でも今、うちが信じられるのはタカシだけなんだから!!


“トントン”  “トントン”

「タカシ、いる?」

 返事はない。

「入るよ」

“キィィィ”

「タカシ?いるなら返事して? この部屋暗くてよく見えないの。」

“ガサッ”

うちの手に何か肌のようなものが触れた。

「タ、タカシ? この身体の感じはタカシだよね? ねぇ。返事してよ。」

「寝てるだけでしょ? ねぇ。 ねぇってば!!」


「フ、ウ、カちゃーーん。」

「ここ、ちょーやばくない?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

 本当に怖いもの 山川ぼっか @ke0122

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ