14.外出
また私になっちゃった
またこぼしてしまっちゃったと
百ぺん読んだ一篇の詩をとじて
老人がうつらうつらさせる頭の上の
車窓に顔をあげる
マンガの間白みたいに擦過する
コンクリートの柱 鉄の柱のむこうは
いま川の上 均質な
芝の上にすべりこみ
また近過ぎるすし詰めビルのバリケード
陽光が遮られ
窓に私の影が見えちゃった
また私になっちゃった
行く手三歩先でちいさいなんかが降って
アスファルトを白く汚した
見上げても落とした主はもういなかった
家を着たから服を出る
百ぺん読んだ一篇の詩
百一ぺん目の再読はなく
まだ見ない詩集に
喉を渇かしはじめていた
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