8.光

眩しく景色に無数に刺した針が

漉かれて弾かれ刺してくる

透明有色針の列 景観の澄明その冷笑

刺すほどに澄み切っていく瞳は痛み

瞼が降りる

なお血脈に濾され越し赤黄まだらに変じても襲う


そうも景色は美しく

私を拒絶する

冷淡な景色でようやく

救済がやってくるらしい

怜悧に指弾し

きっぱりと断たれた私の体で

果実がはじける

散った果肉の表面は一斉に破裂し

香しく果汁が飛沫をあげる

間隙という間隙に速やかに沁み入り

無上の幸福が浸透している

幸福に触れ 不規則な微細振動をして

まもなくこの幸福が私という

意識を体からきっと引き離してくれる


喜ばしい果汁の叱り

光がそれを加速する

ああ きっと きっと もうすぐだ


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