第24話・レジスタンス

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 イシュリンがレジスタンスの拠点として作った半円形の結界は、通称ドームと呼ばれる。


 ドームは、卵と言うよりは繭(まゆ)を半分地中に埋めたようなもので、転移する場合、地面も地中ごと移動することになる。


 魔力を使うものが転移する場合とは異なり、転移先の物質と居場所を交換することになる。


 そして、この大きさの結界を作った上で転移させられるのは、魔力ではなく、神の加護によるチカラを持った神官イシュリンにしかできないことだった。


 ふたつめのドーム・スプリングでは百五十人が暮らしていたが、リバティーから逃れた百人を収容するために、イシュリンは三週間かけてドームを倍の大きさに広げた。


 高さは八十メートル、幅三キロメートル、奥行六キロメートル。


 森の木々の高さが百メートルあることから、今回は同じ高さだったリバティーよりも低く抑え、森に埋もれさせて発見されづらい状態にした。


 拡大したことで鬱蒼とした森が新たにドームのに含まれることになり、イシュリンは祈りを捧げると、ドームの中に入り切らない高さの木を抜いて木材とする。


 水のある場所を選んで町を作ることが出来ないため、地中から湧き水を噴き出させて川を作る。

 地形も選べないため、凸凹だらけの土地をならして作物を作るための平野と、神殿およびそれを渦にして建てる家々のためのを丘を作る。


 神官が持つチカラは本来、このような人々の手に負えない物事を助けるためにあった。


 人々はこのドームにはなかった神殿の建設に取りかかる。


 神殿はイシュリンのチカラを増幅させドームを安定させるからだ。


家々も新たに建てて増やす。


 そして、魔力を持つ・持たないに関わらず、鋤(すき)と鍬(くわ)をもって土地を耕(たがや)す。

 畝(うね)を作り、種をまき、作物を育て収穫する。


 それを本来あるべき人間の生活として実行する者たちこそがレジスタンスであり、アルマが人々を魔力に依存させることで強い魔力を持つアルマに逆らえない状態においていることに強く反発していた。





 〈続く〉

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