あとがき

 執筆した時期が夏ということもありまして、読者が涼しいと感じる小説が書きたいな、と思いました。


 涼しいと感じてもらうのには色々手段があると思いますが、私は水中を想像してもらって涼しくなってもらおうと思ったのです。


 ただ舞台が水中となると選択肢はあまりありませんでした。最初は、海、ダイビング、プール、サーフィン等といったキーワードを挙げていったものです。


 もう一つ条件がありました。それは恋愛を絡めるということです。これは私が恋愛ものが好きだからという他ありません。


 水中で恋させたい。なかなか素敵な響きでした。ただ先ほどのキーワードは全部使えなくなりました。ダイビングが一番の候補でしたが、ダイビング中に恋に落ちるなんて、私は想像できませんでした。


 そこで閃いたのが本作。夢の中、水族館の水槽にて主人公は海の生き物となり、やがて客に恋する。この設定で想像するのは容易でした。


 舞台や設定、プロットが決まると、楽しんで執筆することができました。これほど気分よく執筆出来たのは初めてです。私自身、お酒はあまり飲めませんが、自分の小説に酔ってしまいました。


 さて、本作の主人公の設定について。視覚聴覚二重障害ですが、上記で述べました通り本作では読者を涼ませるというコンセプトがありましたので、あまり深く掘り下げていません。詳しく書いてしまいますと本筋を食ってしまいかねない程重い話になってしまうでしょう。この設定はあくまで夢の出来事をより引き立たせる為のスパイスとして設定しています。


 また主人公が入院した原因についても、ばっさりカットしました。その辺りも物語の進行に必要はありませんでした。ただ私の中で設定はされております。そのあたりは是非、想像で補って頂ければ幸いです。


 以上です。

 読んで頂きありがとう御座いました!

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