第36話 お一人様。
『おはよう。二日酔いだろうから、今日は先に行くね。』
瑠奈は駅のホームでLINEを入れる。一人で学校に行くのは久しぶりなので、なんだか手持ち無沙汰だ。
「いいこと考えた!」
通りすがりにドトールに入る。せっかくだから、お一人様をしてみることにしたのだ。店内に入ると、ショーケースのサンドイッチ目がいく。朝食はしっかり食べたのに、途端にお腹がすいてくる。
『お一人様なう。ドトールでまったりしています。』
席に座って、サンドイッチを頬張りながら春奈にLINEを入れる。
『何?珍しいじゃない。学くんいないの?』
『うん。今日は二日酔いだろうから。そうだ!せっかくだから、しばらくまったりしてから行くね。一限目サボる。』
居心地が良いので、もうしばらくまったりすることにしたのだ。
『行っていい?』
しばらくしたら、春奈から返信が来た。
『いいけど、私、サボりだよ?』
『知ってる♪』
ご機嫌なスタンプとともに返信が来た。
数分後には、春奈と向かい合っていた。
「学校、よかったの?」
「たまには、いいかと思ってね。それに、お一人様って聞いたらなんだか、ワクワクしちゃって。」
春奈はいたずらっぽく
「じゃあ、今日は“お二人様”?」
瑠奈が言うと、二人は顔を見合わせて笑った。
…そうだ。今のうちに話しておこう。拓也君のことも落ち着いたし。
「話しておきたいことがあるんだけど、良い?」
学とのことを話した。あの日、ケーキバイキングの後、学に話があると言われたこと。話を最後まで聞かずに怒って飛び出して、学が探し出してくれたこと。春奈は相槌を打ちながら、静かに聞いてくれた。
「そっか。お似合いなんじゃない?しかし、19歳でファーストキスとは、驚いたわ。鈍感な上にオクテなのね。」
「それ、言わないで…。」
瑠奈は真っ赤になって言う。ここ数日、赤くなってばかりだ。
「赤くなってる〜。瑠奈ってかわいい〜!」
春奈はクスクスと笑う。
「からかわないで。免疫ないんだから」
「ねえねえ!今日は、このままサボって、買い物行かない?お見立てさせて。もう少し可愛めの服も似合うと思うの。」
「そう?私、メンズの服、好きなんだけどな…。でも、サボりは乗ろうかな。」
「そうこなくっちゃ!ランチ、美味しいもの、食べようよ。お祝いにご馳走するよ!」
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