第20話 学のため息。
「ねえ、瑠奈。拓也君のこと、どう思ってるの?」
週明けの昼休み。大学の学食でのこと。
「学の友達。」
めんどくさい話題に瑠奈は一瞬、顔をしかめる。
…学のヤツ、ちゃんと断ってくれたんだろうな。
めんどくさいことが苦手な瑠奈はモヤモヤしだした。ごまかすようにお茶を飲む。
「私、こないだの週末、拓也君と一緒に過ごしたじゃない?あれ以来、拓也君のことばかり考えてるの。」
ーゲホッ!
思いがけないカミングアウトに咳き込んでしまった。
「…そ、そうなんだー。いいんじゃない?」
「でも、拓也君は瑠奈のことが好きなの。応援しようと思っていたのに、私が気になるようになっちゃって…。」
困った
「拓也君のことは、学に断ってもらうことにしてるよ。私は春奈を応援したい。」
「瑠奈…。」
春奈はホッとした、しかし心細い
「拓也君と私が並んでるところ、想像つく?拓也君には、春奈みたいな可愛い女の子らしい
「瑠奈。ありがと。なんか少し自信ついた。」
「まあ、そんなワケだから、拓也君とご一緒する用事は勘弁ってコトで。」
「わかった。…しかし、困ったな。それだとダブルデートを口実にはできないもんね。」
「だねー。ごめん。うまく誘えるといいね。」
一方、学と拓也はといえば、ファミレスでランチをして、そのまま午後の講義をサボる算段で長居している。
「拓也。瑠奈のことだけど。」
ドキッとする拓也。
「何?」
拓也は平静を装い、聞き返す。
「その気は、ないらしいんだ。そういうの苦手と言っていた。」
「そっか…。近づけたところだったから、期待していたんだけど。」
「まあ、アレだぞ。普通の女の子の方が、お前に合っていると思うぞ。」
「普通のって?」
「
「瑠奈ちゃんは、見た目とのギャップがまた気に入ったんだよ。男前な美人さん。ついていきたい!」
…ダメだ。瑠奈、済まない。約束通り断ったが、説得できなかった。
学がため息をつく。
「なんだよ。そのため息。」
「俺は、伝えたぞ。お前に、瑠奈からの伝言を伝えたぞ?」
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