カクリツ。
シンドウカズマ
第1話 アイス
確率というのはとても便利だ。次のことを決めるのに悩まずに済むんだから。こんなネガティブ思考で理数系に進んだ気がちっさい僕は、とてもじゃないけど恋愛というものに手を出す気にはなれない。しずにおける気苦労を自分から被るなんて最悪だ。
____この男は違うが。
「優梨!!!」「うわっ」
どんっと音がして2人ともひっくり返った。「いてーなバカ!!!」
「いやん愛しの優梨くぅんにバカって言われた!」
「死ねば?」
「暑いなあしかし!」
「まぁな…でも寒いよりマシ」
「あいすおごって?」
「やだ」
「あーいす!あーいす!あーいす!あーいす!」
「あーもう!わかったわ!!!」
あぁ……僕も甘い。
こいつは優介。うるさいやつ。
古ぼけた駄菓子屋に入る。安くって、店の娘さんがさらさらヘアーの端正なひとなので男子に地味に人気がある。
高校生の財布の中身などたかがしれているのにこいつは某高級アイスクリームを選びやがった。1個300円など僕の財布にテロを起こしているに等しい。ぶん殴ってほかのアイスを選ばせる。持ち金を確認したところ、80円くらいしか入っていない。一個分しか金ないから僕らはリア充アイスを買うという選択肢しか存在しなかった。あの半分パキってわれるやつ。
横を見ると、美味しそうに食べる優介。同じアイスだよな?僕にはない愛想が、こいつには沢山ある。人懐っこさとか、真似できない。
「_なあに?ゆーり?」
「!?」
慌てて顔を背ける。
絶対リスク、世間体、コスパ、全てに置いてゴミ。普通の恋愛でさえしないと決めていたのに、
____何が嫌いって、
こんな奴に好意を抱く自分が大嫌いだ。
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