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「やっぱり幸せ太りじゃん」

「そう言うのじゃないって」

 だって運動量が前に比べて減ったんだろ? 

「多分、彼女と一緒にパンケーキとかパフェとか食べに行っているからかしらね」

「でも元々甘いもの好きじゃんか。今更それくらいで」

「いや、若い子の甘いものへの食欲って凄いわよ。見た目はパーフェクトオネェでも中身は普通の三十代男だからね、ちょっときついものがあるわよ。それに運動も「幸せ太りじゃねぇかよ」

 そう突っ込むとミケは目を細めて笑った。

 いいじゃないの、少しくらい太ったってさ。大好きな人と美味しいものを一緒に食べて美味しいねって言えて、また相手の為に店を探してってとても素敵なことじゃない? そんな素敵なことが詰まってふっくらするくらいならいいじゃん。

「ミケ、イツキちゃんに会えてよかったな」

「え? どうしたのよ、急に」

 気持ち悪いわね、と続けてミケが小突く。

 気持ち悪くてもいいさ、ミケが好きな人と一緒になれて笑顔でいられているのなら。俺だってお前と何年一緒に居ると思ってんだよ。幸せくらい願ったっていいだろ。

「なんでもない。イツキちゃんが行動的な子で良かったなって思っただけ」

「あ、もっと太ればいいのにって思ったんでしょ? これからはちゃんと締めていきますぅ」

「もっと太ればいいのに」

「乙女に向かって失礼ね」

「どこにいるんだよ」

「目の前にいるでしょーが!」

「本物の乙女に失礼だわ」

「あんたがねっ!」

 なんてね。これからもこいつが笑顔で入れる日々が続くように、よろしく頼むよ、イツキちゃん。

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